2017-01-01から1年間の記事一覧

北上川夜窓抄 その40=三浦命助 作:左馬遼 

北上川の上流域は、南部藩領である。 三浦めいすけは、百姓・命助(or盟助とも書く)として知られる。 盛岡南部藩領の栗林村<現・釜石市>に、文政2?・1819年頃に生まれ、文久4・1864年盛岡城下の牢内で死亡した。 因みに、百姓とは、かなり尊大ぶった肩書…

高尾山独吟百句 No.14 by左馬遼嶺

もくもくと そこにもここにも 雪落ちる 〔駄足呟語〕 昨日は日曜日の朝のことだ。 朝起きて驚いた。静かな白い世界 その前夜から,静かにしずかに、雪は降り続けていたらしい。 大雪警報が出ていたらしいが、ニュウスを見ないまま知らずに寝込んでしまってい…

川歩きの物語 穇

2017年の11月である。何も書けないまま一ヵ月が過ぎようとしている。 そんなことで、約1年半ぶりに 〔 川歩きの物語 穇 〕を書いている。 〔 川歩きの物語 〕を書いた2016年4月は、入院中であったが。実はただ今も入院している。 ここはインターネット環境が…

北上川夜窓抄 その39=続・古川古松軒 作:左馬遼 

北上川を行きつ・戻りつした古川古松軒についての続稿である。 古松軒は、幕府巡検使の随行員として天明8・1788年陸奥・出羽を巡歴しつつ蝦夷地までを往復した。 ほぼ230年ほどの昔だが、時は東北地域が大飢饉の苦境に喘いでいる時期であったから。ある意味…

高尾山独呟百句 No.13 by左馬遼嶺

空に月 かおり添えたる キンモクセイ 〔駄足呟語〕 吾が家から月を眺めた。 過ぎた9月は7日の夕べであった。 その日は、運よいタイミングで月の出を見た。 日本海に面した北陸の地、晴れの日に出会うことが難しい。 望月(満月=月齢15。十五夜の月)は、前…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.15

前稿の執筆から既に1ヵ月半以上経過してしまった。 前稿で述べた”ワットの酷い夏”は、未だ終ってない。 下駄履きアパート内のジプシー暮らしは続いている。 自室に回帰する事は、もう秋も終り、寒さ対策が必要な時季なのだから、簡単に実現しそうだが。 未だ…

北上川夜窓抄 その38=古川古松軒 作:左馬遼 

今を去ること約230年前、北上川流域を江戸に向けて南下して行く集団があった。 幕府巡検使の一行である。 そもそも幕府巡検使とは何か?だが。 天明8・1788年その随員として一行に加わって、蝦夷・東北を旅した古川古松軒が残した旅日記=「東遊雑記」により…

高尾山独呟百句 No.12 by左馬遼嶺

瞼には ハイビスカスに ザワワあり 〔駄足呟語〕 過ぎた6月沖縄を訪ねた。 その背景を述べると、いささか厄介だが。 要するに、前回の沖縄の旅での帰路、那覇空港のカウンターで、医療用酸素を航空機内に持込もうとして、トンデモナイ苦労を味わったことを…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.14

この夏はどうにか過ぎた。 暦の上での夏は、ふつう6・7・8の3ヵ月である。 もう9月だから、もう秋である。 遡ってみたら、8月中この稿を全く執筆しなかった。 何故か?回顧して背景が判った。 ブロイラー・ハウスの住人がダニ族であることが判明するま…

北上川夜窓抄 その37=菅江真澄・番外 作:左馬遼 

北上川の川面を眺めつつ舟を浮かべ、川の畔を辿り歩いた人たちの評伝を探るシリーズ。菅江真澄編の第4編だが、前稿までに本筋は述べ終わったので、本稿は番外編である。 江戸中期、三河人が東北・北海道までやって来て、遂には秋田の地で最期を迎え、一度も…

高尾山独呟百句 No.11 by左馬遼嶺

大空に 入道出でて なに思う 〔駄足呟語〕 当地の梅雨明けは、つい先日他の地域に少し遅れて、知らされた。 当面の空模様が、早晩に雨がちに転ずるのは、台風5号の影響であろう。 台風発生が、7月中に2ケタ台に近づくのは、気象統計的に、希な事象らしい…

北上川夜窓抄 その36=菅江真澄・続々 作:左馬遼 

北上川の畔に佇み、時に川面を舟で越えたであろう人物を探るシリーズ。菅江真澄篇の第3稿である。 前稿では、菅江についての謎を筆者が設問したまま、その答を示す事なく終った。 稿末でヒントを出したが、その言わんとするところは、菅江の内心がどうであっ…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.13

吾が住む北陸は、まだ梅雨のうちである。 とは言え、カラつゆ気味だからであろう。結構暑さがこたえる。 頼るものは、冷房エアコンで、已むなく就寝中も定温モードでどうにか寝ている。 とは言え、眠りの質はかなり悪い。 それが証拠に、寝つきも寝起きも芳…

高尾山独呟百句 No.10 by左馬遼嶺

沖にシマ 白雲青海 胸さわぐ 〔駄足呟語〕 先月は、ひょんなことから沖縄に行った。 着いた日が、沖縄の梅雨明けであった。晴天に恵まれ、よく歩いた。 沖縄訪問は、昨年の暮れに引続いて2回目だが。観光など自由な時間があったので、事実上最初の訪問とな…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.12

やはり、この世の中はうまい話ばかりではなかった。 退院した日の午後、病院から自宅の2階建て借家=別名・兎小屋一軒家に還る途中、パートナーは仲介不動産屋と示し合わせていて・・・ 車を少しだけ遠回りさせて、築25年程経過したブロイラーハウスを見せら…

北上川夜窓抄 その35=菅江真澄・続 作:左馬遼 

北上川の川面を渡り、その畔に足を踏み入れた人物の評伝として、前稿に引続き菅江真澄を採上げる。 菅江真澄は、大いに謎に包まれた人物である。 本名を白井秀雄<1754〜1829>と言い、三河国<現・愛知県>岡崎または豊橋に生まれ、出羽国<現・秋田県>角…

高尾山独呟百句 No.9 by左馬遼嶺

はえの風 ときどき受けて 道迷う 〔駄足吠語〕 吾が住む北陸は、先週やっと梅雨入りした。 しかし、肝心の雲行きは、夏模様である。カラツユなのか? 扇風機の起すファジーな揺らぎのある風(1/f)が快い昨今である。 その先週だが、ひょんな会合があって、…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.11

このホネ五郎日記も連載二桁台に達した。 もっと、速いペースで書き進む心算であったが、何故か?月1回の著述と信じ難いスロウペースで推移してしまった。結構、通院とか雑用などで、それなりに多忙であったのだ。 過ぎた5月半ばで、退院1カ年が経過し。病…

北上川夜窓抄 その34=菅江真澄 作:左馬遼 

北上川の畔に佇み、かつてそこに足跡を残した、北上川ゆかりの人として菅江真澄について述べる。 江戸中期の国学者・紀行家であるが、その位置づけや評価はそれぞれである。 菅江真澄なる称号は、晩年秋田に定住した頃から、使用したものである。 本名は、白…

高尾山独呟百句 No.8 by左馬遼嶺

薪能 家に還して 菖蒲の湯 〔駄足吠語〕 昨夜は金沢城址で、薪能があった。 狂言「樋の酒」と能「殺生石」を覚えている。 甚だ楽しんだと書きたいところだが、最後の演目である能の中段頃に退座して、急ぎ家に還して、風呂に飛び込み、ひたすら暖まった。 百…

高尾山独呟百句 No.7 by左馬遼嶺

世の中の 花々終り 爪が伸び 〔駄足吠語〕 花綵(はなづな)列島固有の気象とも言うべき、四季の推移は、近年薄れつつある。 夏と冬・もしくは乾期と雨期の間の、何とも表現し難い「花の季節」が今年は楽しめたが・・・・ 果して来年はどうだろうか?そんな…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.10

先祖還りに伴う糞尿譚の前半部=フン戦記は、前稿で終った。 今日は後半部=尿闘談である。 目が覚めている日中の時間帯は、さほど問題は無い。ネックはやはり夜間にある。 入院中誰かの画策が奏効してか?日中ばかり、1日に3度も脱糞した。 これで夜間就寝…

北上川夜窓抄 その33<遠野・番外編=通算第5稿> 作:左馬遼 

遠野は北上川の流域都市である。 遠野物語は、日本民俗学の創始に寄与した柳田国男の大著だが、著述の主要テーマたる山人研究は、やがて終結を見ないまま間もなく放置されてしまった。 その原因・背景をさぐろうと。この稿を書き始めて、本稿はもう5稿だが、…

高尾山独呟百句 No.6 by左馬遼嶺

山吹に はなみずき沿う 春の宵 〔駄足吠語〕 ここに来て、どうにか、天候が安定を増しつつある。 上空の寒気団が強く張り出すせいらしく、天気予報は不測の分だけ、慎重に公表されるらしい。 にもかかわらず、実際の地上の天気推移は、このところ晴れる方に…

いかり肩ホネ五郎の病床寝惚け話No.9

寝惚け爺ぃの想い出噺は、つまるところ”先祖還り”譚に落ちて行く。 ここでは糞尿が主たるテーマである。 何故なら先祖に近づくと言う事は、幼児化であり・赤児に戻る事だから・・・ 数週間ベッドから離れる事を禁じられた。その期間を通じて、オシメをしてい…

北上川夜窓抄 その32<遠野まとめ=通算第4稿> 作:左馬遼 

遠野は、北上川の流域である。 遠野物語は(明治43・1910刊)、遠野の住人佐々木鏡石よりの聞書きを以て。日本民俗学を開創した巨人・柳田国男(1875〜1962)が著した。 山人外伝資料(大正2・1913刊)は、同じ著者による日本民俗学の基礎を拓いた大著だが、…

高尾山独呟百句 No.5 by左馬遼嶺

しずまれよ ふぶきにイカダ 雨と風 〔駄足吠語〕 標題句を漢字で書くとこうなる 鎮まれよ 花吹雪に花筏 花嵐 この年の一期一会の花とも、ついにお別れである。 来年の再会を胸の奥に秘すのみである。 閑話休題 実景を踏まえているが、幾つかのシーンを眼の奥…

高尾山独呟百句 No.4 by左馬遼嶺

こぞのサクラ 憶い出させる いちえ花 〔駄足吠語〕 標題句を漢字書きするとこうなる 去年の桜 おもいださせる 一会ばな ◎去年=こぞは、もうすっかり死語化しているかもしれないと想い。まず古語辞典を引き・更に広辞苑(電子版)に載っていることを確かめた…

高尾山独呟百句 No.4 by左馬遼嶺

こぞのサクラ 憶い出させる いちえ花 〔駄足吠語〕 標題句を漢字書きするとこうなる 去年の桜 おもいださせる 一会ばな ◎去年=こぞは、もうすっかり死語化しているかもしれないと想い。まず古語辞典を引き・更に広辞苑(電子版)に載っていることを確かめた…

高尾山独呟百句 No.3 by左馬遼嶺

玄関に 妻の声聴く 沈丁花 〔駄足吠声〕 ジンチョウゲは、処によるが、概ね春分の頃に、花開く。 花が咲くと、香りが想わぬほど明瞭で、春の宵を彩ることがある。 芳香を放つ花木に、キンモクセイがある。 こちらの開花期は秋だが、吾が家ではこの2つが春と…