2015-01-01から1年間の記事一覧

もがみ川感走録第33  べに花の9

もがみ川は、最上川である。 尾花沢に清風と名乗る男がいた。 時は、元禄2・1689年。年齢は39歳。 職業と言えば、嶋田屋八右衛門(屋号)家の部屋住者(跡継ぎ息子。この3年後に家業の金融業を継ぎ・襲名して鈴木道祐となる)。嶋田屋は苗字帯刀を許された有…

もがみ川感走録第32  べに花の8

もがみ川は、最上川である。 夏も近づく 八十八夜 野にも山にも 若葉が茂る あれに見えるは 茶摘みじゃないか アカネたすきに 菅の笠 このところ、古い季節感でモノゴトを語りにくい雰囲気があるが。 それを難しく語ると気候変動の問題や高速輸送とエナジー…

北上川夜窓抄 その8  作:左馬遼 

北上川の顔に当る町は、間違いなく石巻だが。 その顔に光を当てる役割を果したのは、伊達政宗であった。 戦国から江戸の初めにかけて、日本の歴史でも一・二を争うほどの秩序の大転換が行われた。 後世の我々は、過去をあたかも既に敷いてあるレールを走る電…

北上川夜窓抄 その7  作:左馬遼 

北上川の河口と言えば、石巻である。 石巻のランドマークは、日和山公園である。 日和山<ひよりやま>には、何度も立寄っている。 筆者は、1980年頃転勤地の仙台市に拠点があった。海の方を目ざして日帰り出張することが多く、昼休みは多く日和山に登って過…

もがみ川感走録第31  べに花の7

もがみ川は、最上川である。 紅花講話の舞台も、ここで一挙に上古〜古代からワープして江戸時代に至る。 歴史課題は史料文献に従うため、何も無いところから捻り出すことはできない。 平和な時代は史料文献が残存しやすい、江戸時代はそんな時代であった。 …

もがみ川感走録第30  べに花の6

もがみ川は、最上川である。 直前の稿では、紅花がもたらされ・山形の地に落着くまでの経緯をやや強引に述べてみた。 辺境地域=東北部の古い時代相を明らかにすることは、列島内であれ・ユウラシア大陸であれ、とても困難である。 列島人の一特徴でもあるが…

もがみ川感走録第29  べに花の5

もがみ川は、最上川である。 最上川の流域・内陸は、紅花の王国である。 これを単なる宣言文ととるか?現在進行形の事実センテンスと見るか? その受取り方は、人それぞれであろう。 その紅花生産もアジア太平洋戦争の最中に、栽培が停止された。 敗戦後、紅…

北上川夜窓抄 その6  作:左馬遼 

北上川のことを語る時、必ず付き纏うのが、日高見国<ひたかみのくに>のことである。 有史以前〜上古・律令前代における地域の纏まりを差して呼ぶのに、〇〇国と表記するのは、この国ではよく見かける表記の例ではあるが、ある意味困った風潮であると断って…

北上川夜窓抄 その5  作:左馬遼 

北上川は、古代陸奥国の象徴である。 大河は、世界的大文明を生み育てるベーシック・インフラつまり基礎的要素である。が、明治以降の日本列島は、クロフネ・ショックを受けて国策の基幹が革まり、河は見捨てられた。 最も顕著な施策が鉄道建設による殖産興…

北上川夜窓抄 その4  作:左馬遼 

北上川は、名前のとおりの川である。 源流が北にあり・河口が南に位置する。 よって川の水は北から南に流れ下る。名は体を表すように、素直な川である。 この当たり前をことさら鬼の首でも摂るかのように,畳み掛けるのもどうかと思うが・・・ 水流の方位な…

もがみ川感走録第28  べに花の4

もがみ川は最上川である。 前稿では、衣料素材の王者たる絹とベストマッチ色料の紅花が、ユーラシア大陸のどこか=シルクロードの途上で出逢いを果したであろう。と想像たくましい・やや狂狷附会の仮説を論じた。 では、その出逢いの時期は、何時のことであ…

もがみ川感走録第27  べに花の3

もがみ川は最上川である。 前稿で、紅花と絹はベスト・カップルであると書いた。 しかし、紅花の原産地は地中海付近であり、絹の出現は同じユーラシア大陸でも全く逆サイドの古代中国であったから。この2つの素材が出逢うには、人類史200万年の中でも、この…

北上川夜窓抄 その3  作:左馬遼 

北上川の第3節である。 河口が2つあって、思わず手間取ったが。これもまた受験教育の悪弊から生じた国民性の余波か?と,我が身の脱皮=変身の拙さを嘆くばかりである。 何でも1つに絞り込む列島的閉塞思考。その基層は、単一民族・単一言語などイデオロー…

北上川夜窓抄 その2  作:左馬遼 

北上川の第2節である。 この新しいシリーズは、先月から書き始めた。本日の第2節を出稿するまでに1ヵ月以上が経過した。 徒らに放置していたわけではない。確実なことを記述するための確認作業に思いの他、足をとられた。 ことが川だけに、見通しも利かな…

もがみ川感走録第26  べに花の2

もがみ川は、最上川である。 ベに花の第2稿であるが、話題として幅広くかつ奥が深いテーマだから、筆の運びがじつに重い。 人世とは、端的に衣・食・住そのものと考えたい。 ただ、詰らないことだが。吾が身に照らして、並べ順に拘る。 この最上川シリーズも…

もがみ川感走録 第25 べに花の1

もがみ川は、最上川である。 前稿で最上川の川魚を採上げたが、意気込みほどの成果は見つからなかった。 支流に「鮭川」なるドンピシャリの名を持つ川はあるが、最上川本流で・サケがらみの特産品を見出すことはついぞ出来なかった。 時は、まさしくサクラマ…

北上川夜窓抄 その1 作:左馬遼

新しいシリーズとして、今日から「北上川夜窓抄」を始める。 作者として、これまた左馬遼<あとらばりょうと詠む>を示す。 北上川の世界と言えば、4年前の東北大災害=3.11の地震・津波を、まず冒頭に述べなければならない。 千年に一度起る程度とされる…

もがみ川感走録 第24 川魚-2

もがみ川は最上川である。 最上川に因む特産品シリーズのうちの川魚編の第2稿である。 筆者にとって、実に困った事だが。最上川の水面から穫られた肴を使って、広く知られる存在としての特産的食品はなさそうである。 前稿において、ちらっとシャケに触れた…

もがみ川感走録 第23 川魚

もがみ川は、最上川である。 最上川の特産物を採上げるコーナーである。直前の稿でサトイモとカブを掘下げてみた。 因みにサトイモとカブは、最上川流域の・つまり最上川の川水が地下水となって、潤す土地が産み出す産物だ。いずれも他の地域に見られない特…

おもう川の記 No.47  阿武隈川の17

阿武隈川のシリーズも今日で第17稿、もう終盤だ。 『川そのもの』を主柱に据えるのが主旨であり。この〔川に因む人物・人脈のコーナー〕は派生的・トピックスコーナーでしかないのだが、、、、意に反し既に5稿まで進み・先月をもって終りとした筈だった。 だ…

おもう川の記 No.46  阿武隈川の16

阿武隈川に因む人物・人脈のシリーズ第3テーマ。三春藩主たる安倍・安藤・秋田氏の系図を繙く第5稿=最後の話である。 三春領内諸家に伝わる安倍・安藤・秋田氏系譜では、家租を大彦命(おおひこのみこと)としている。 古代人名辞典<2巻398頁>によれば、…

もがみ川感走録 第22 かぶの6

もがみ川は、最上川である。 カブの話も今日で第6話になってしまった、そろそろ終焉にしたい。 小国町にヒッチェカブなるものがある。地元には、弘法大師からの授かりものとする伝承がある。 その特徴は、小国盆地一帯に自生することにある。越後街道や米坂…

おもう川の記 No.45  阿武隈川の15

阿武隈川に因む人物・人脈を語るシリーズの第3テーマ。 三春藩主家の安倍・秋田氏を綴ってきたが、今日はその第4稿である。 列島は、ユーラシア大陸から分離した大陸性島嶼である。この大陸は地球最大の陸地で、その最も東の端にある島だから。その東はもう…

おもう川の記 No.44  阿武隈川の14

阿武隈川に因む人物像を描くテーマの第3=三春藩主家である秋田氏の家系人脈を綴る続々編である。 この秋田家の源流は、安倍氏であるとされ。その末流にして明治政変期まで命脈を保った秋田家の全家系史を一望することは、とても重い。 重いと感ずる所以を、…

もがみ川感走録 第21 かぶの5

もがみ川は、最上川である。 特産品=カブの第5編だが、〔遠山カブ〕の続編である。 直前の稿で、ダイコンは梓山(ずさやま)・カブは遠山と紹介した。 ”遠山蕪”の方は、広く知られる特産品となり。一時期産地となった。 焼畑ではなく普通畑で育てるが、畑一…

もがみ川感走録 第20 かぶの4

もがみ川は、最上川である。 特産品シリーズのうち「カブ」の第4稿だが、前稿で採上げた”温海蕪”に並ぶ。高名な山形の特産品である「遠山蕪」を採上げる。 遠山とは、地名である。現在では米沢市に編入されたが、米沢市の郊外である。 明君=上杉治憲に因む…

おもう川の記 No.43  阿武隈川の13

阿武隈川に因む人脈シリーズのうち、秋田氏の続編である。 三春・秋田藩が、幕末までの約220年超を過ごした。あの滝桜で知られる三春の地は、福島県を流れる大河=阿武隈川の中流域にある。 この川の人脈シリーズでは、まず福島市が生んだ音楽家=古関裕而を…

おもう川の記 No.42  阿武隈川の12

阿武隈川のシリーズも、そろそろ最終コーナーである。 引続きこの川に因む人物・人脈を採上げるが、今日から始めるテーマは少し重いことになるかもしれない。 現在は福島県だが、江戸時代の終りまで陸奥国の一部であった。東北ブロックのうち、最南の一画を…

もがみ川感走録 第19 かぶの3

もがみ川は、最上川である。 山形の特産であるカブの事をいよいよ話する。 まずは、知名度抜群の”温海蕪”である。 温海温泉は、現在鶴岡市のうちにある鄙びた名湯である。 日本海岸にごく近いが、湯船に居て海面が見える位置でもない。 ただ、「あつみ・おん…

もがみ川感走録 第18 特産食品=かぶ

もがみ川は、最上川である。 地域特産シリーズ第2弾”かぶ”の第2稿である。 とまあ、シリーズ・タイトルを書きながら、自らの失敗に気づいている。 この数年、菜園規模の自給自足には遥かに及ばない、ガーデニング・ファーマーの真似事をやっているが。喰う…