北上川夜窓抄 その1 作:左馬遼

新しいシリーズとして、今日から「北上川夜窓抄」を始める。
作者として、これまた左馬遼<あとらばりょうと詠む>を示す。
北上川の世界と言えば、4年前の東北大災害=3.11の地震津波を、まず冒頭に述べなければならない。
千年に一度起る程度とされる大規模災害で被災した方々は、何ともお気の毒と一言申上げる。
北上川に限れば、河口のある追波湾<おっぱ>と石巻湾<いしのまき>の被害が大きかった。
こう表現すると誤解を招きかねないが、北上川はいわゆる内陸を流れる川であって。海岸との接触は極めて少ない。
海岸域を流れる河川は、北上高地からほぼ東に流れ出し直接太平洋に注ぐ。北上川とは水系が全く異なるのだ。
その北上川だが。行政区分に従えば、岩手県宮城県を流れる川であり。東北最大にして・列島ランキング5位以内を占める「大きな川」である。
その判り切ったことを何故ことさらに書き連ねるかと言えば、話題がトンデモナイ位置に飛躍するが、行政コストの負担増に起因するこの国の競争条件の低劣を思うからである。
OECD先進国グループの一員として華やかな時代は、僅かの期間=戦後の一時期でしかなく。今や中進国の一構成員である。
それはそれで、居心地よいのであろうが??
謙虚に足元を見つめなおし・行政の無駄を省くことで・行政コストを低減させて、国民生活の向上をまず図るべきである。
その本来行うべき普段の努力を忘れてはならない・・・特に南と北の両端=中央省庁の中に〇〇開発庁の名を冠した末端組織が置かれている沖縄と北海道を見ると。3階梯・2重制の屋上屋を重ねるような行政の無駄遣いに憤りすら覚える。
先に跳び台を示さずに、飛躍後のトンデモナイ位置まで脱線してしまったが・・・・
戻って最初の着地=跳び台を示そう
発端は、北上川の河川基礎データを型どおり述べておこうと、主要2社から発刊された歴史地名辞典を開いた。
なんと2つの県域のデータを合算しても総和データと合致しないのだ。何故だろうか?県を跨ぐからだろうか?データ数値の不合は、氷山の一角の・ホンの始まりに過ぎなかった。
この川の上流と下流とが2つの県や異なる国の出先に別れて=複雑多岐に渡らなければ。なんの苦労も無かった筈である。まず国の関与を外す(既にある出先機関は解体・廃止する)。
次に道州制のような広域をダイレクトに管理する単一の行政組織を新設すればよい。1階梯・ワンストップ組織こそ効率が良いのだ。
この際、筆者の想定する河川基礎データを掲げておくとしよう。
河口の座標軸。次に幹川流路延長と流域総面積。水源の座標軸の4つである。これしかない
序でながら、余計な忖度をしておくと。四海を海に囲まれる列島の場合、河口即ち海港であると言えるので、舟運に大きな関心を持つ筆者は、まず河口の位置を抑えておきたい。
北上川の河口は2つある。
1つ目の河口を追波湾と言う。
旧・桃生郡北上町追波<2005年4月石巻市編入された>の先で、直接外海太平洋に注いでいる。
追波湾は概ね東向きで。湾奥の河口から約9kmほどまでの川は西から東に流れる。この部分は概ね北から南に流れる北上川の中では、例外的に流れの方位が異なる特異部だ。
この水路部分は、別名=追波川<おっぱがわ>と呼ばれ、一部に北上川本流とする見解がある。
2つ目の河口は石巻湾、太平洋の仙台湾内に注いでいる。
この石巻港は、江戸幕藩期以降舟運基地として大いに栄えたので。2つあるうちでは、こっちのほうが、現在圧倒的に有名である。
河口が2つあるので、それに連なる幹川水路も2つある。何かと厄介だがその話題は少し先送りしよう。
河川基礎データの第2である幹川流路延長に話題を移したい。
幹川とは、何か?
読者の方はご存じないものとの前提で説明する・・・・川の流路全体を樹木に例えて、樹木図の幹と枝に置換えると判りやすい。
川の流水全域を1枚の写真になるように、人工衛星から撮影したとしよう。
1本河口の川であれば、海の位置が地面となる。河口から主幹が立上がり、上流に向かってスプレイ状に枝・葉が広がる。
足元の河口から支流先端の水源まで、1本の立ち木のように、川全体を俯瞰できる。
枝部分に当る細流の距離は、幹川流路延長に含めない。
それはどうしてか?あえて設問されると、答は以下のとおり?
降雨や地滑りなどで、細流の流路・距離は頻繁に変動する。よって、変動が比較的乏しい幹川流路のみをカウントするわけだが、災害常襲列島らしい智慧だとしておこう。
河川基礎データの3つ目は、流域総面積についてだ。
何故か?こっちのデータ数値は、余り変動が無い。幹川流路延長とは対蹠的である。
分水界の一方の端から他方の端までに含まれる土地面積の総和であるから、災害常襲列島といえども、それほど変動するデータではない。
河川基礎データの最後は、水源の座標軸である。
ある意味これが最も厄介である。筆者が地名辞書などに当った感触では、北上川の水源は、3つほど記述されている。
先ほどの樹木図に例えれば、枝の先端=支流の1つ1つに水源があることになるが、北上川の支流は216だ。
どうやって、3つに絞り込むのか?その過程が筆者にはよく判らない。
筆者の独断で推考すれば、3つくらい?思い至る。
まず、河口から最も遠い距離に位置する水源をもって、代表させる案。
次に、水源中で、最も標高の高い山をもって、代表させる案。
最後に、幹川の中でも主流とされる水路があるが、その水路系の中の最高地点に位置する水源を以て代表させる。
とまあ、苦し紛れに3つ並べてみたが、筆者は素人であり、きっと大きな勘違いがあるようだ。
読者の中で、正解を知っている方があれば、お知らせねがいたい。
今日は、ここで筆を措くこととしよう