もがみ川感走録 第18 特産食品=かぶ

もがみ川は、最上川である。
地域特産シリーズ第2弾”かぶ”の第2稿である。
とまあ、シリーズ・タイトルを書きながら、自らの失敗に気づいている。
この数年、菜園規模の自給自足には遥かに及ばない、ガーデニング・ファーマーの真似事をやっているが。喰う事の奥深さと難しさとを、人生の黄昏時になって始めて味わう昨今である。
そんな農業や食品・調理にクラい筆者が、カブを語る事のデタラメさ加減を。まずお許し戴きたい。
さて、今年は、ヒツジの年であるとか??
ヒツジを漢字に換えると羊だが、ジンギスカン料理を連想するばかり。
漢字変換はまだあった。「未」なる文字だ。これが判らない、中国文化圏延いては東アジア域に共通する暦法として、十干十二支<じゅっかんじゅうにし。略して えと=干支とも言う>がある。
気になって、広辞苑・百科事典・白川静香の字通などを一通り引いてみたが、「未」は十二支の8番目とか・陰暦6月の異称とか・南南西の方位、未の刻は午後2時の前後2時間を言うなど。型どおりの既知の説明のみあって、「未」字が何故にヒツジ該当となるか?判るような説明がなかった。
それどころか、十二支すべての漢字が、動物とどう関わるか?判らないとする記事すらあった。
気軽な脱線気分から想わぬ迷路に嵌り込んだ感じがする。
そこでまあ、脱出方法を考えようか?
「未」の音は、ミとビ。これは羊の鳴き声を模して当てた字面であろう・・・と。
もちろん、他の11干支文字には通用しない。
ところでヒツジの鳴き声は、モンゴル人の耳にはどう聞えるのだろうか?
擬声語ほど民族によって変わるモノは無いらしい。
イヌがワンワンで通じるのは、日本列島と日本人間だけの事らしい。
外国人に擬声語と身振りだけで、イヌを当てさせるのは難しいそうだ。
さて、意想外に長々とヒツジの話をしてしまった。
実を言うと、カブとヒツジの話をしたかったのだ。
カブは、人間だけの食糧でもないし。農産物としては、ほぼ世界規模で栽培されているらしい。
因みに原産地は、地中海から西アジアとされるが、温帯シベリアから寒冷地にも抵抗無く導入された。
俗説カブ料理と言えば、ボルシチが知られるが。疑わしいので置いておく。熱帯以外の砂糖生産の話もまたしない。
その理由は、ビートもテーブル・ビートも共にカブの類いに入れる事ができないからだ。
記憶によれば、英国はシェトランド島のヒツジは、収穫から取残されてほぼ野生化しつつあるカブを寒さで固まっている原野?の地中から掘起して食べ、厳しい冬を過ごすとか。
翌春まで生き残り・ヒツジが厳寒期に減少しないことは、羊毛産業の安定に直結する。
まさにカブは、有難い栄養源である。
とまあ、栽培農業が中核である日本列島では、あまり受けない話題だ。
このように放牧系農業の話題は、説得力もまた乏しい。
羊毛が持つ本来の保温力も、温帯から亜熱帯圏である日本では、あまり重宝がられない。
ウール製品と言えば、現代ではほぼオールド・ファッションに近い感じだろうが、まず背広の生地が思い浮かぶ。
ヒツジ原毛は、ほぼ全量規模の輸入素材だ。外貨不足の時代は、初任給1ヵ月分をもってしても背広1着を購入する事ができなかった。若かりし頃の苦しい思い出である。
ヒツジは、毛だけではない。食肉生産もまた牧羊業の仕事だが、これまたギュウとブタ好きの列島人には不人気の話題であろう。
筆者自身マトンに手を出すのは、北海道旅行の時くらいのもの。定義どおり1年子羊のマトンであれば、狂牛病の懸念もまたない。
いよいよ今日の纏めだが・・・
カブはほぼ世界中にあって、格別珍しい食材ではない事を記憶に留めたい。
列島には、中国経由で渡来したが。中国文献などによれば、大和朝廷の成立期に既に導入されており。平安中期頃には重要な位置を占める野菜であったらしい。
列島におけるカブの旬は、秋から冬である。特に目につきやすい中型から大型のカブがこの時期である。しかし、何事にも例外がある。時無し系の小カブは、盛夏の一時期を除いてほぼ年中出荷される。
まさにこのオールラウンド性にこそ、カブの特徴たる救荒野菜=飢饉対策のための食材としての持ち味があると考えたい。
世界に冠たるカブ料理と言えば、間違いなく温海蕪・遠山蕪である。
いずれも山形の特産品である。
知る人ぞ知る優品だ、その話は明日に致します