もがみ川感走録 第17 特産食品の2=かぶ

もがみ川は、最上川である。
年が明けた。
その事を以て、単純に目出たいとする。言わば都合のよい?、現実捨象の思考回路があるらしい。
具体例 年賀状などに多用される決まり文句のひとつ
あけましておめでとう・・・・のことである。
どのような故事来歴を持つコトバなのか?何故に目出たいのかいま一つ判らん。見当もつかん・・・
年越に絡めて、落語ネタに除夜の鐘が鳴るまで、借金取立から逃げる算段=例えば居留守を使う=筋立て話が出てくる。
おそらく落語の舞台は、時代が江戸時代。所は大阪・江戸など、多様な職業の者が混じり合って住む長屋・・・
当時の庶民生活が活写されている。彼らの日常の消費生活は、殆ど”掛け買い”であったらしい。
つまりモノを今受取る・カネは後日に支払う が一般的であったらしい。
その買掛債務を決済すべき期限=「盆・暮」と年2回であった。そこに冒頭に書いた落語ネタが、興行ネタとして、聴衆に受入れられる素地があったのであろう。
年が革<アラタ>まっても、人間社会の債権債務まで”革まる”事はありえない訳だが。”あけまして”のコトバに引っ掛けて、ドラえもん世界型の現実逃避を夢想する・些細な馬鹿話が、清涼剤的に寄席で語られたのであろう。
ただし、もう少し時代が遡れば、「徳政令」など。突如に借金がチャラになる、庶民にとって嘘みたいな政策が現実に実施された事もあった。
それを遠い時代の記憶として・希に起る?願望として持ち続けていた江戸庶民もあったかも・・・
では、松の内の終り。つまり日常の暮らしに回帰する最初の日は、いつだろうか?
それは、この現代でも、地域により・業種?により、微妙に異なるらしい・・・・
春の七草は、手元の百科事典<小学館1988刊>によれば、正月七日の七草粥と記載がある。
おそらく7日から普通の生活を再開させるのであろう。
しかし、現在、”3が日”なる慣行がある。かと言って、カレンダーに3が日の記載は無い。
一部の競争激しいモノ売り世界では、初売りを元旦から始める例もある。
何をもって松の内とするか?何とも決めかねる感あり。
冠婚葬祭などは、16日以降まで待たされるとも聞く。
引用はまだ続く
七草行事は、中国に古くからあった風習らしく、日本に伝わった時期は不明として。鎌倉時代の文献=河海抄に載る歌があると言う。以下に紹介しよう
  芹 なづな 御行 はくべら ホトケノザ すずな すずしろ これぞ七草
  春バージョン・・・と口で唱えると、邪気が払えるような気がする。
そして、この歌に出てくる七草=7つの食材をいまの植物名に当てはめている。
関心ある1種=すずなとは、カブ(アブラナ科)とのみ書いてあった。
筆者の苦労は、実はここからだが。
カブと最上川の関係は如何に?
赤カブの漬物は、山形県を代表する特産食品である。
最上川流域をウロウロしてもう数年経った我が家では、今や自家製の赤カブ漬けを賞味している。
筆者はこの数年北陸に居を置いているが、最上川流域と同じ日本海側地区である。
越冬食糧として、野菜類の保存食に留意する生活風土において共通する心情がある。
現実に、金沢を中心にカブラ鮨なる名の伝統食品すらある。
カブラは即ちカブだが。この呼び方の地域分布について、中尾佐助の研究報告がある。それを後日採上げる事もあろうか?
実はまだある。なんとカブの栽培から伺える=世界の野菜学・野菜事情に話が進む可能性である。
まあ、ご安心されたい。地球規模でカブを論ずるのは、未だ早い。
まずは手近な話題=焼畑を手始めに。のんびり話題を五大陸に拡げるとしよう。
焼畑と言えば、北陸の名山たる=白山<はくさん>の麓で、現実の焼畑農業が行われている。
筆者は、そのことを京都と千葉県佐倉市で知った。
京都とは、地球研<略称 総合地球環境学研究所。2009年刊行の要約版には大学共同利用機関法人人間文化研究機構とある>の事であり、文化人類学の実践における京都大学の蓄積は膨大である。
佐倉だが、長嶋茂雄は置いといて、歴史民俗博物館の第4展示室<民俗室。2013.3月リニュウアル>の事である。その展示室に入った瞬間、壁に大写しとなった知人の大きな顔写真を見て。かつて参加した焼畑=白山麓ではナギハタと呼ぶが=現場の急傾斜を思い出した。
そろそろ紙数が尽きた。今日のところは、導入部で終りとしよう・・・
最後に、赤カブ漬けの食材たるカブ菜のこと。山形県域で耳にしたのだが・・・・
普通の農地で在来農法により栽培されたものでなく。わざわざ傾斜度のきつい焼畑農法で栽培されたものに拘り、高価でも、「焼畑カブ」を買い求める傾向が目立つとも聞いた。