にっかん考現学No.59 通信使の9

朝鮮通信使ゆかりの地を訪ねる旅シリーズ、今日は牛窓の第4稿。
通信使資料館=海遊館についてのレポートは、第2稿で終った。アトは付け足し、、、
今日は”うしまど”の由来を考える回だが,果してどこまで行着けることであろうか?
前稿は、八幡神社のお使いは鳩であって,牛じゃない。で時間切れにした。
日本の神には、お使いの動物やら、乗物に当たる専属の牛や鹿が決まっていて、境内で放し飼いにして保護されている。人間以上に大事な存在で,虐待なんぞしようものなら,きつくお仕置きされる例が今日でもあると聞く。
八幡神は、日本列島にくまなく配置され。源氏の氏神でもある、八の字をよく見ると対になった鳩に見える。ツイン・ピジョンではある。
牛は、天神のお使いである。その点でこのセットは最も近い関係だが、そのことをもって八幡神から「牛」を排除する必要は無いと考える。
家畜として,ウシとイヌは,最も人類と古くかつ長く付合ってきた。
漢字にまつわる卜占とウシの生贄などが代表だが、世界中のどこでも神と人のある処に。犠牲として備えられたウシがあった。
とまあ、ウシの話もそろそろ終るとして、やはり最後にウシがらみの話題を・・・・
通信使を接待する気苦労は、数々あるが。一番の困難は、食べ物であった。
互いの食生活の違い。最も気を使いながら・最もすれ違いに終りやすい、やはり食い物の恨みは怖い。
そう、当時の日本人は4つ足の肉は食わなかった。通信使の面々は牛肉を喰らうはごく当たり前。否、こよなく牛肉を求めたらしい。
そのギャップは如何ともしがたい・・・・こっちは当時宗教上、信仰上のタブーだし。第一 宿館は寺を当てる例が多かったのだ。とんでもない
ギュウだけに苦肉の解決策は、こうであった。
初めは、日本側が調理して提供していた。あれこれ工夫しても、先様の評判は”宇都宮”であった。
あ・ごめん、宇都宮は日光の3つ手前の宿館だ。場所が=つまりイマサンで、遥かに遠い。と言う意味。もちろん、日光のすぐ手前は、現代も通信使の時代も変わらず「イマイチ=今市」である。
解決の終着点は、食材を提供するに留めたことであった。
通信使は、楽士やら馬上曲芸師やら絵描きやら多才な人物構成であったが。随行の小者が調理役を兼ねた。同国人同士だから口に合う調理・味付けが容易く実現することになった。
以上をもって、牛窓編のすべては終った。

以下は全くの駄足なのだが、、、、、
牛窓の由来が、ウシマロビの訛りからとする伝承がある。ので一応紹介したが、全くコジツケだと密かに想っている。
と言っても、うまく反論できる算段は全くない。小笑話を眉唾つきで述べるくらいの気概は持ちたい。
さて、全国の”うし”音声に因む地名を思いつくまま挙げるとしよう。
うしく=牛久・茨城県
うしつORうしづ=宇出津・石川県。牛津=佐賀県
うしぶか=牛深・熊本県
うしぼり=牛堀・茨城県
うすい=碓氷(峠&郡名)・群馬県碓井・福岡県
うすき=臼杵大分県
うすだ=臼田・長野県       うす=うしノ訛り表記として掲げた
もっと多く存在するであろうが、先に進む
牛に因む天神は、菅原道真をも祀るが。彼は祟り神の最強に属し、一時期盛んに雷をあちこちに落として廻った、と陰陽師が唱えたことがあった。
地震・雷・火事・カアチャンだから、雷の恐さは上位を占める。
落雷を避けるためのお呪いは、クワバラ、クワバラだとか?
何故か?菅原家の荘園を桑原荘と言うそうだが、、、信ずる人だけが救われる。
”うし”に因む地名も同じく、雷を恐れることから命名されたかもしれない。
上例の地が、雷の少ない土地柄か?そうでないか?それは今後の気象学的研究課題である。
では、”うしまど”の「まど」は何からか?
夏はさすがに暑い、額からタジタジ・タジン鍋のごとく
風待ち・潮待ちの牛窓港から、いよいよ出航を決める。それが船頭の重要な役割、責任重大だ。
良港の背後には、日和山なる物見の小高い眺望台が備わるものである。
早朝そこに登ることが、帆船時代の航海士の日課である。
だがしかし、エーゲ海よろしく多島海である牛窓の前海は、見渡せる海面が狭い。
潮見(=しおみ)は、おおいに惑ったであろう。
さあ・お立ち会い・・・・海にある代表的なモノ・・それは何か?
答えは”しお”だが、1つきりではない。
漢字で書けば区別が容易だ。塩&潮・汐である。
発音で区別するために、波の花と言い換え。潮汐(ちょうせき)の方をあえて”うしお”と詠んだりする。
潮汐現象は、太陽と月の運行に伴い海面が上昇・下降することだ。
船の航行上最も注意を要する厄介な自然現象である。
干・満とも1日にそれぞれ2回あるものの、普通は見えない海中の地形に左右される要素が大きく、予測が難しい。
干・満さの大小は、海域・海面の大小に比例しない。経験的にほぼ全く無関係であることが知られている。
”うしお”の末尾音が脱落し、船頭がおおいに”まどう=迷うこと”。
ある意味居心地が良くて、出帆を一日延ばしにしがちな、まさしく良港だったことに由来した地名であったろう
おアトがよろしいようで