にっかん考現学No.50

昨年の暮れ、一胞帯水<イチイタイスイと詠む。胞=イは、胞衣=エナに通じ、列島と廻廊半島の中間に横たわる東アジア地中海を指す>を挟んで隣り合う両国において、昨年の暮れ=ほぼ同時期に首班の選出・交代が行われた。
本稿は、その首班交代・日韓比較論稿編第8稿、テーマ=ネット選挙を考えるの続稿である。
この夏予定される参議院選挙に向け公職選挙法の改定が進行中。と、2月半ば頃メディア報道で聞いた。
だが、3月に入って状況一変。各地高裁で、過ぎた選挙に関する違憲判決や選挙結果を無効とする(こっちの方は一部高裁だが)判断が出されている。
要するに、今や国民共有の常識である立法府の時代錯誤と中央行政府の無能ぶりが、遂に司法府の指弾を浴びる段階にまで達した。
ただ、それだけのこと。
これを別のコトバで言うと以下の通りとなる。
中東に始まったジャスミン革命の風が、被爆大気プラスRM2・5の風を加えて末流沈没列島にも及んだ
長過ぎたか・・・・決まらんなあ
この国の政治流儀=それは何事も決める事無く,ただ先送りする。
そのことが太平洋と東アジア地中海との間に、漂う花綵列島の沈没を押しとどめず、ただただ沈没速度を加速させてしまっている。
沈没の早さは眼に余る状況だが、原発でまたまた東電はやってくれたのだ。
2度も同じ過ちを犯す存在であったとは。トホホ
3月18日電源喪失がF1で再発したと聞き、もうこの列島には住めない気がする。
もう、どうにも止まらない   どうする沈没加速列島よ
さて、テーマに戻ろう。
現在の公職選挙法では、インターネットを利用しての選挙運動は、禁止されている。
具体的には、政党も候補者当人も第三者(=一般の市民たる有権者のこと)も含めて、ホームページ・ブログ・電子メール・ソーシャルネットワーク(=SNS)を使って、特定の候補者への投票を呼びかける事は、罪に問われるのである。
これを聞くだけで、何とも時代錯誤も甚だしい。と、あらためて驚き、かつ腹が立つ。
一般市民=有権者まで課罰対象にしたのは、当初からの誤りであった。はなから外すべきであった。
この国のありようは妙である。まず規制ありき社会だ。スタートから不自由を強いる、誠に妙な国だ。
それは、王権か君主権がまず先にあって、その他大勢の民が欲しがる人権は、路傍のゴミの中にすら堕ちていないのだ。
そのような国の成立ち=歴史のようなものが、厳然として旧態依然のままに、庶民を奴隷のような立場に置いたままなのである。
その点友邦?アメリカは、最初にルール無しから始まる真の自由社会であり、新しいルールの設定=つまり規制の創設だ=に対して、驚くほど逃げ腰な健全社会だと聞く。
隣国韓国は、どうだろうか?
韓流ドラマには、儒教精神にどっぷり浸かった王朝風情が描かれる。定めし、列島以上に旧態依然の国民感情であるだろう。
ところが真相は真逆、列島より遥かに民主政治のレベルは高いようだ。
現にネット選挙は解禁だし・初ながら女性大統領も実現した。少なくとも2〜3歩先を歩んでいるようである。
さて、「ネット選挙」になったら、列島の政治風土は、どう変るであろうか?
実は、公職選挙法の改定プランがはっきりしないのだから、想像困難だが。そう突放してしまうのもどうかと思うので、無い知恵をはたいて、夢だけは語りたい。
おそらく老人は、インターネットに無関心であり・毛嫌い・背を向ける者が多数であろう。若者との比較において、そう考えて、間違いは無い。
そうであれば、規制が解除されたネットを駆使して、進んで選挙に臨むは若者となるであろう。
老人支配の社会は、既得権を尊重し。その結果として旧態を維持する談合と利権団体が跳梁する=言わば自己利益誘導の盛んな=歪んだ構造の”世”である。
「ネット選挙」解禁が遅れた理由と背景は、そこにあったと言うべきである。
来るべき「ネット選挙」解禁後の政治は、個人と団体の間に差がなくなる。
少なくとも、この点はほぼ確実に予想できる。
候補者個人と個々の有権者とが、365日24時間、距離感無くダイレクトに意見交換できるようになるからだ。
個々の有権者が、自分なりの理想を開陳し、採用して欲しい政策課題を提案し。心ある候補者や政治家からの回答なり確約を得て。候補者を押したり・落としたりする事が出来る事態となろう。
しかも、そのやり取りは記録でき、大勢の市民でもって共有する事が出来る。つまり、政治家のその場限りの逃げ口上を許さない=後日エヴィデンスを以て(=政治責任の一端として)追求する事が出来る。
そうだ。そこには、もう団体=その代表が政党なのだが=の介在する余地は無くなる。少なくとも政党の重みは著しく後退する事であろう。党議拘束や政党に対する公費助成などの本来あるべきでない=妙なものは消滅するであろう。
そのような事態は、政治が数=量の次元から脱して質の次元へと進化させることになろう。
テーマ=「ネット選挙」は、これをもって閉稿とします