泉流No.91

* 春はまだ  枝垂の桜  つぼむ頃
〔駄足] 岩手は平泉の毛越寺(もうつうじ)に居た。4月26日のこと。
大災害・大津波の年に世界遺産の登録を実現させているが、かつて仙台に勤務したこともあって、訪問としては、何度目かのことになる。
この庭園は、もう800年もの間、放置されたままの状態で残った。言わば、廃墟状態の庭園なのだが、期せずして存在するがままの景色、かつて人が組上げた石や人が造った見立ての海が、長い時間人手が加わらずに放置されて自然に回帰する過程にあるものと理解した。
庭園構造の初期の姿を復元してみよう。
知らず知らずのうちに、そのような心の働きを促させる。
その心の営みに不思議を感じていた。
他のどこにも無い、滅び行く未来を見せてくれる、それがこの庭園の究極の魅力なのかもしれない、、、、、
おそらく、ここを訪れる多くの人が、同じ想像過程を辿るであろう。
かなり大ぶりの枝垂れ桜が、遠くから見えた。出来る限りゆっくりゆっくり近寄ってみた。咲き初めには、あと数日の感じであった。
つぼみのままの方が、開花したそれより紅色が濃いかもしれない。
花を待つ心。それなりに満足を感じた。盛りの頃とは違った味わいもまたよい。
駐車場から道路の向かいに、何とも大木の限りとも言うべき大樹の枝垂れ桜を観た。
これの開花はもう2週間くらいの風情だが、およそこんな巨樹があり得るだろうか?
かく思うほどの壮観であった。