にっかん考現学No.14 あすかの1

去る4月の下旬、山形県に行った。酒田市平田町(2005年に合併し、行政地名は今こうなっている)にある飛鳥神社を訪ねたのである。
行く前の印象と行った後の胸中に去来するものとは、大いに食い違い。とても重くなってしまった。
飛ぶ鳥と書いて、=あすか=と読むことは、漠然とした常識であるとするベースの感覚=日本史的レベルの通説・多数説と言う立場の見解と、かつて何度も奈良県明日香村に現地を訪問した時の記憶との相乗効果による確認済とするもの=が、筆者にはあった。
しかし、それらは、この数日の間に、ほとんど全てひっくり返ってしまっている。
ひっくり返る前と後とを、シンプルに対比して示したいと思うが、、、、
それは即ち世間一般の常識への挑戦であり。その対象とする「ものごと」が、膨大な質量なので。
心底恐れ戦いている。
さて、バイパスルートめいた、独りタワゴトは、この程度にして。本題に戻ろう。
「あすか」と読む背景を知りたいと思うが、実は答えは愚か、手がかりすら殆ど無いのである。
当日、現地で、当事者に尋ねる。
これが、吾が人類学的な単純・簡単・確実な手法なのだが、
飛鳥神社に辿り着いた時、無人状態で。管理者と思しき宮司への連絡方法の掲示など見つからなかった。
次の方法は、取材旅行からの帰着後に行う、ありきたり文献へのアクセスだが、結果的にこれも裏切られてしまった。
権威ある地名辞書や国史辞典などを引用して、これが答えです ”ハイさようなら”となる筈が、全く裏切られたのであった。
まさしく、この国のやり方が、この分野の研究においても、所謂国民性として定着しているらしい。
全くもって、消えた年金や手が付けられない事故原発廃炉アクションと同根なのである。
幅が狭く・底が浅く・全く腑に落ちない。内容が乏しいのであった。
それでも仕方が無い。
筆者の独断と偏見による仮説として、以下に述べておく。
1、 万葉集で知られる古代歌謡の枕詞である。飛ぶ鳥のアスカなる=言辞2ブロックの結び付きの意味や背景が、民族の記憶から既に消えてしまった。
2、 イスカなる鳥がよく飛んできたのであろう・・・文献は推測説とのコトワリ付きで載せてあるが、単に音が近いだけの俗説と踏んだ。
因に百科事典を引用してみよう。スズメ目アトリ科・全長17cm・暗黒色に赤〜オリーブ色が混じる・北方からの越冬性渡り鳥・数が少なく・北海道と東北地方で見られる・上嘴が大きく「食い違い」で知られる・・・・
3、 韓半島(=朝鮮半島の現代的表記)から古代の日本列島に大量に渡来した民が、集中居住し安住の地とした地域があった。それを日本人はアスカと読みならわしたようだ・・・これもまた推測説とのコトワリ付きで載せてあるが、果たして安住の字をアスカなる音で読んでいいか?到底承服しがたい。
因に平凡版歴史地名辞書に当たると、河内国安宿郡<かわちのくに・あすかべぐんとフリガナするが、根拠は和名抄の万葉仮名に拠る>なる見出しがあり、所謂『近つ飛鳥』=飛鳥村(今は消えた行政地名・近世以降は古市郡に配属された)がそれであると理解した。
以上3例を掲げたが、已然としてアスカの語源なり言葉の由来は不明である。
今日はこれまでとします