泉流No.64 あいて!

*  ロウ・すろう  気概悠々  ほう・トロウ
〔駄足〕 この句は2003年に出来ている。そして、何とIT問題を踏まえている。しかも、ITは、筆者にとって「ウ」尽し「ウ」だらけなのである。
言葉の数にして17分の6、つまり35.3%も「ウ」が占める、否、言外にある『胡散臭いIT=うろん』も1個にカウントすると、もっと割合は上がるのだ、、、
ロウもスロウも英語だが,何が低いかも、低いのが良いのか、それともその逆で良くないのか、、人それぞれ,その時々で,動き・揺らぐが良いと考えたい。
もう1つロウには、法律と言う充て方もある。第3句に出てくる「ほう」もまた法となり得るから重なるも良しである。また呆の字を充てるもまたよい。トロウは、取ろうでも徒労でも良い。
とまあ、凝り固まらず、あれもよし、これもまたよし。そう言う気概をこそ悠々気分と呼べるのであろう。
只今現在の時点では、原発事故なる深刻な人災を抱えており、とても悠々の心境に遠いが、到達目標として『悠々』を掲げることを提案したい。
さて、最終落着きどころは、ボロボロとして。IT問題を踏まえて句を作った時の心境を再現したい。
さて、IT革命=ディジタル・ショックは、何だったのだろうか?
一例を示す。CDの登場がレコードを駆逐したように、i-Podは、CD販売店を一掃してしまっている。
このことは、イノヴェイションのもたらす一面であって、沈み行く旧世界を押し戻すことは無理としても。そのことで失われる働らく場の喪失または就労機会の減少は、とても気になる。
ある経済合理性の実現がもたらす、別の側面である社会学的不合理の出現である。
それを社会科学が何もせず、放置することは,間違いなくロウ=rawであり、ラフ=roughにして。未熟社会の課題放棄と呼ぶべきである。
ITがもたらした雇用拡大は、当初だけの一時現象。システム開発期だけの一過性膨張であった。
旧態モデルからITモデルへ移行するためのシステム開発要員雇用を、ほんの短期間一時的に増やした。
しかし、システム開発が完了したとき、一時膨張した雇用は、旧に復することもなく縮小一途に向った。
IT合理効果に見合う分の、まず中高年層労働者を。その次に不要労働力に成り下がってしまった若者達を。つまり全層の労働者に、失職と低賃金の刃が振り下ろされ。合理化効果である対価利益は、役員層だけで山分けされた。
このような全層的失業問題は、日本だけでなくIT先進国共通の課題である。ITがもたらした定型・単純・繰返し労働の急激な減少は、世界共通の深刻な社会問題となっている。
世界的・世紀的なIT革命がもたらす大変革に、旧態依然の法律家主導の先例踏襲型の手法で抜け出すことは難しい。だから、rawとlowになって久しい。
ワークシェアなど、社会政策的手法。つまり皆で一両損をかぶり、耐える。そうやって、緩やか悠々のスロウダウンを図る必要がある。
決して,旧来手法である、財政出動による景気刺激や雇用拡大を漫然とやるべきでない。
それは、現世代の刹那的利益を図るため、次世代に負担を付け回すだけの,徒労の策略でしかないからだ。
かつての自民も,今の民主も。ともに昔の手法を『鵜』飲みしたまま、チンタラやるから、表向き失業率は先進国中最低だが、GDPに占める赤字財政の規模は世界最悪である。
ウはいかんなあ