バリ&ギリ南洋見聞記No.32

バリにもう一度行きたいか?と聞かれれば、答はイエス
理由を述べろと言われれば、かなり戸惑うかもしれない。
バリと言われ咄嗟に思い浮かぶもの、空にある凧。
空を見上げる余裕がある時、そこに必らず凧が舞っている。更にゆっくり、周りの木の枝を見回す。持主を見捨てて、そこに定住したらしいタコが、こちらを見下ろす。互いに眼を見合わせて、思わずニヤリ。一つ空に複数の凧、、、それは当り前。
空を見上げられる。そんな気分に、日本の夏の昼、半日近く続けて、果たしてそんな事ができようか?
苦もなく夏を過ごそう・・・温帯から熱帯へ避暑に出向け
閑話休題   
魏志倭人伝に出てくる情景描写。倭人男子、皆鯨面文身とある。果たして、倭人は古代の和人だろうか?
さて、日本人が共通して抱く歴史観は、東アジア人の歴史認識と異なり、列島独特のそれであるらしい。
どこにもイデオロギーナショナリズムエスノセントラリズムがあり、程度の濃い薄いの差もあろう。
海洋民と刺青(いれずみ)は、必ずしも過去の遺物ではないようだ。バリも入れ墨が盛んだ。
現代日本の刺青は、タトゥーならずタブーである。
ところで、苗字に「緒方・尾形・宗像」など『カタ』の音を持つ例がある。
漁撈民の中でも海に潜るアマ(=海士や海女と書く。白水郎も)は、海中護身のため全身または身体の一部に施し、部位に係わらずカタと呼ぶ例もあったであろう。
アイヌには入れ墨文化が備わり、古代の和人とする有力な見解がある。アイヌ=北海道との思いあるが、列島全土にアイヌ語彙と合致する地形や地名が散在する。その事実は何を意味するか?
この紀行談も、この32稿をもって終りである。
凧もアマも韓国済州島にあると聞く。沖縄はどうだろう?
列島にある風俗の原型らしいものが、バリにあると見た。
列島文化の独自・固有はさておきタコツボ盆栽趣味に没頭する危うさは、この度の大地震・大津波で再認識された。
やはりアジアは一つ。地球の民もまた一つに収斂する。
出来るだけ、臭みの無い、偏りの少ない、地球市民レベルの歴史知識や空間認識を身に付けたいものである。
永らくお読み頂き有難うございました・・・・完



デンパサール公園で見たバリ桜? このシリーズに掲げた写真の一部は、旅の同行リーダー朱鷺先達氏から許諾を受け公開します。記して感謝を添えます

魏志倭人伝の考古学 (岩波現代文庫)

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アイヌ語地名の研究〈4〉―山田秀三著作集

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