バリ&ギリ南洋見聞記No.27

キンタマーニ高原とはドキッとする名の観光地だ。アバン山<標高2152m>などから成る外輪山の一角にある。
昼食はヴァイキング、眼下に広がる山裾から麓へと流れる雄大な景観を眺めながら、ドライバー氏と並んで座り食事した。
観光地として抜群の名勝だが、バリ島の北海岸と南海岸を結ぶ主要道路沿い、高低差あるものの島の中央を突抜ける最短コース途上なので、ドライブ客向けの昼食会場は数多くある。
結構の込み具合で、たまたま左隣に座った2人組の旅行客はインドネシア女性であった。我ら弥次喜多組は妙な組合わせと見えたかも?向こうから日本人かと問われた?
それからは、4人での即席情報交換会となった。日本語・英語・2〜3の現地語が入り混じり、ドライバー氏は通訳兼解説役。
最後が、互いのケータイ電話の見せあいとなり、当方が所持するスマートフォンがきっかけとなって、彼女らの勤務先は、電信電話企業であることが判明した。ジャワ島ジャカルタとソロとにそれぞれ住むか生まれかの女性の言によれば、彼の国には未だ導入されてないとのこと。
1〜2泊程度のショートツアーは、首都圏の先端業種に勤務する女性の間で一般化しているようだった。
ドライバー氏はガイド兼務で、入場料の伴う観光施設に案内したがったが、彼の想い描く日本人は、金離れがよくて物判りがよい存在なのだろうが、彼のサイド収入に協力するほどの裕福家ならざる筆者は、唯一トヤブンカの有料温泉にのみ応じた。
トヤブンカは、ほぼ完全円形を保つ外輪山の淵を走る道路を下る低い位置にある。天然温泉で、中央火口原の一部をなす火口湖であるバトゥール湖に面している。
ガイド氏によればトヤブンカの意味は、水の女神が地上に飛び出る場所と。その噴水塔を見たかったが観光客向けの囲われた有料部分内にはなく。現地人向け温泉施設に立入れなかった。
中央火口丘バトゥール山<標高1750m>への登山についても詳細な説明を受けた。高額な現地人山岳ガイドを雇い上げ事が、義務付けられているとか。彼のサイド収入と絡むようなので、山を所有する個人の名前を教えろと迫ったせいか、一時車内は険悪ムードへ。
ついに日本人は、英語が駄目だなどと、悪態を吐く始末。そこで、やんわりと得意のブロークン英語で宣言した。
クィーンズ・イングリッシュを20年以上やったが、聴く方はサッパリだ。どこかの植民地経由の英語発音は、本国と大違いだから、殆ど聴き取れないねえ、、、
こっちの言わんとすることはよく通じるらしく、降りる頃に彼がぼそっと反論らしき一言。
「今度来る時はバリ語を話したほうが良いですよ」
郷に入りては郷に従うべし、「その通りだね」と応じた。
事実、受験英語なる140年前のオールド・スタイル・イングリッシュに投じた高校までは、大きな無駄かつ遠回りであった。
しかし、多くの日本人が、外国語を苦手とする背景は明快である。
日本語は表意文字表音文字とを同時平行駆使する世界唯一の言語体系である。その最高級の訓練が身に付くことで、合理的かつ秀逸な言語能力が日本人の身に備わる。
そのため、より程度の低い言語に練達することに無理が生ずる。
筆者はそう信じている(末尾・注参照)
今日はこれまでとします
(注)松岡正剛氏は、和漢混淆・仮名文字のデュアル・スタンダードを文字革命とよぶ。=平凡社新書白川静香」p232以下

後期万葉論 (中公文庫BIBLIO)

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初期万葉論 (中公文庫BIBLIO)

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白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)

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バトゥ−ル山頂と三山連景