バリ&ギリ南洋見聞記No.22

ウブド市内の住いの印象を都市環境も併せてお届けする。
一般の家が、どんな素材で作られているかを知ることは、運良く建造中のものに行き逢うことである。
現在進行形の建造途上家屋を数棟見たが、壁材はほとんどコンクリートなどの土石系素材ばかりであった。屋根もその延長とみられ、当世流行のスタイル・素材なのかもしれない。
これ等は風の通りを分断するので、赤道下の土地事情にそぐわない素材の感じだが、、、、
よく見たら、民宿の客室も似たような素材・仕様だった。実際に過ごしてみて、エアコンが無いのに、昼夜ともそれほど苦痛を感じなかった。
何故だろうと数日観察し、風通しが良くなる工夫があることに気がついた。壁の上端と屋根の接合部の間に、外気が通過できる空間が設けてあった。
屋根が高いこと。それに、天井を設けておらないこと。などが土地の智慧とみた。
対照的なのは、レストランなどの大型建物だ。大屋根は決まって天然素材を使っており、壁や窓などが全然なく、いかにも熱帯らしい開放感があった。
大屋根裏は、意識して眺められるようにしてあるのか?自然素材の組み方を見せており、合掌造りを見ているような感覚を味わった。
観光向けの営業施設は、古いスタイルを採用。一般住宅の方が、むしろ新しい流行の?素材やスタイルの斬新さを求めて彷徨っているのかもしれない。
さて、市街地プランだが、
道路を歩きながら住宅ブロックの内部を伺うことは殆ど出来ない。道路の位置が低く、眼の高さ以上に聳える豪壮な石の塀の連続が見える。長い塀が相当続いて、やっと次の家の石門。そんな感じだから、見上げる長塀の内側は、寺なのかと思う。
それにしても寺が多過ぎる。宿の人に尋ねてみた。住人が死ぬとそのまま寺になるこなどと、極めてニュートラルな話であった。
この点は日本も同じ?神社や寺が古墳上に作られたり、宮殿がそのまま寺院になる例を聞いたことがある。ブッディズムもヒンディーもあい通うものか?とまあ漠然な理解に留めておきたい。
各家の石門もまた実に立派だ。外段数は概ね4段だが、見上げる高さ。1段の高さも小柄のバリ人には、かなり高過ぎるようだ。
おそらく雨期の洪水対策に備えるため、高門と高塀にして揃えたに違いない。石門の裏がまた1〜2段の下がり階段となっている。当て推量を検証するには、雨期に滞在してみることだ。
ある日昼飯を食いながら高い場所から市街地を見下ろすことがあった。あの高い塀に囲まれた住宅用地の中に、複数の住居が分散配置されているのが見えた。思い思いの向きと形と大きさで、相当な過密状態と見た。
かつてインドネシア各地に点在したヒンディー教徒達が、ムスリム・マジョリティーに追われる如く逃げ込んで来て、人口過密になった歴史背景と重なるような市街地景観だった。
住宅群の裏は、いずこも概ね田んぼの低地だ。水田・水郷は、どんな工夫をしても移動に適さない。
道路と水田に挟まれた狭い高台の住宅群。その道路側は、堅固な構造の塀と門で、裏側は水郷で、何に備えるのか?
さすれば、ウブドは幾重にも、洪水や暴力行使集団の侵入から守られた都市配置であるようだ。
今日はこれまでとします