バリ&ギリ南洋見聞記No.12
バリ島についての常識を修整してやれキャンペーンを22日第9稿から始め、順次繰出すカウンター・パンチ?は今日がその3日目。
インドネシアの中にあってバリは特異な存在だが、誰もが知るその常識=第9稿で抜出した4つの特異要素。それが、いずれも虚構に過ぎないことを看破してみたい。結末はどうなることやら誰も知らない。
『第3のカウンター』・・・生息する生物が、ロンボク海峡以東の島のそれと大きくかけ離れる。
第9稿で掲げた特異要素の部分再掲です
まずロンボク海峡についてだが、バリ島の東、ロンボク島の西を通る幅35km内外、深さ約1300mの海路のことである。
この海峡は、3.11の地震津波による原発事故が発生してから格段にその重要性が注目されている。原子力エネルギーが期待できない今、頼りになる基幹燃料は石油だ。
日本に原油を運ぶ超大型タンカーの通路として、マラッカ・ルートが制限されて久しいが、ここロンボク海峡の生命線としての価値は以前にもまして一層重加されている。
更に、ロンボク海峡は生物地理学の重要海域である。
かつて動物相の境界=ウォーレス・ラインとされた。
固有種の大陸として知られるオーストラリア区とアジア大陸に連なる東洋区との境界は、ここロンボク海峡を通る。と1860にウォーレスが提唱した。
それを踏まえて、1868ハクスリーがウォーレス・ラインと命名した。
その後の生物学の進化により、ウォーレス・ラインは彼の死後、新ワラス線・ウェーバー線などにより部分修整されている。しかし、その修整説も確定通説に至るまで、尚若干の曲折がありそうだ。
生物相境界線なる、全く新しい科学的アイデアを初めて提唱したA.R.Wallace(1823〜1913。英国の学者。生物学、博物学、地理学、人類学、探検家、進化理論の中核たる自然選択をC.R.ダーウィンとは独立に発見報告し、当時のロンドンリンネ学会で共同発見と公認された=文末に参考文献)は、後年社会科学分野でも注目される社会改革論を提唱するなど活動領域の広い学者だが、生物地理学の父、生態学を形ち造った科学者の一人と呼ばれるべき存在である。
しかも、この提唱報告は、大陸移動説が提唱される<A.ヴェーゲナー、1912=文末に参考文献>はるか前の業績であり、画期的先見性に富む。
ウォーレス・ラインなる呼び名は今後とも科学史の一里塚として、長く記憶に留め置かれるであろう。
以上述べたとおり、ロンボク海峡引いてはバリ島の生物相における特異性は、現在では若干後退したようである。
にもかかわらず基本プラン発見の地として、ウォーレスに注目された科学史的価値は不動と考えたい。
序でだが、彼は1854〜62の間マレーシア・インドネシア探検の体験を元にして、1869に著書「マレー半島」(未読/邦訳なし)を発表した。
しかもこの報告は、後にコンラッドが海洋小説「ロード・ジム」を書く契機となったのである<文末参照>。
このアンチ?Baliキャンペーンは明日に続きます
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