バリ&ギリ南洋見聞記No.7

クタでのジャランジャラン(現地人は散歩の意味で使うらしい。ジャランなる普通名詞のアトに固有名詞を置いて通りの名になる)を略述する。
建設ラッシュが、既成市街地の外れまで延々と続いているようだった。交通渋滞が酷い。
車道に車,歩道に観光者が溢れている。
気に触ったもの つまり悪印象を2つ紹介する。
まず、乗用車のクラクション。短く鋭くうるさいのに閉口した。始めのうち何度か、音の方を振向いた。運転手がこっちを見てタクシーとわめく。意味が判らないから,反応しない。するとスピードダウンしながら、歩道に寄せて来てまたわめく。己れがどうもターゲットらしいと気付く。手を横に振る,しつこい、やがて増速走り去る。
次に歩道。狭い事は問題、高さなどデタラメかつばらばら。所々に穴。放置されたり、板きれや石ころが置いてあったり。要するに全く管理がされてないか、管理の標準そのものが存在しない。
心を患いそうな状況だ、早々にビーチに逃れた。
大通りのあちらにも海浜のこちらにも、行過ぎた商業根性・功利主義・拝金思想が溢れかえっているが、機械騒音とガソリン系の悪臭が無く,眺望が遠い分だけ海の方がまだマシだ。
後日、金曜日発行の英字新聞バリ・ウィークリーの記事で、バリは建設ブーム。島外からの資本と人口の流入が盛んであると知った。
以下は筆者の単なる想像だが、タクシー開業もホテルやエステなどの観光施設などへの進出も全く自由放任状態にあると見た。
普通の乗用車とタクシーとの間に,何ら外観の差は無い。屋根の上のサイン・ロゴとか,ナンバー・プレートの色とかの違いは無い。おそらく距離メーターも無いに違いない。
建造物の乱立と充満。これまた、行きずりの一旅行者にとってどうでも良いことだが、市街地がどこまでも際限なく拡大する無秩序を思い暗澹としてきた。
その昔、アムステルダムの町を散策した時の思い出と重なった。引越風景に出逢って独特の建物仕様の工夫を知り,感心。その土地固有の用途規制が施行されている事を知った。
その点、旧宗主国オランダは、かつての植民地インドネシアに教訓めいたプラスの遺産を何も残さなかったようだ。愚民政策と言う進化への抑制と、間接統治制と言う社会的緊張を植付けて内部反目の材料を置土産して引上げたようだ。
オランダは、大河の河口周辺に形成された大規模の氾濫原を乾燥・干拓して国土を人工造成した空間史を持つ世界でも稀な土建国にして、長く欧州列強の植民地として支配・収奪に耐えた建国史を持つ。それでかアムステルダム市の範囲は明確に線引され、乱開発などによる周辺の市街地化を阻止する土地の用途規制が厳密に運用される。
オランダ人はティピカルだ。必須保有資産は、ボート。世界の陸地は神が、ネザーランドの陸地はオランダ人が造ったと言う言葉があるとか、、
さてバリは、いつまでアジア的無造作を続けられるだろうか?
地上の楽園は、既に現地人の心の中から融け始めているようであった。
今日はこれまでとします