バリ&ギリ南洋見聞記No.6

クタ・ビーチ散策は、飛行機の離着陸に魅かれたように、南にあるデンパサール空港に向っていた。老児趣味未だ健在なりか?
やや遠目に見える空港は、かなり多忙な様相。離陸準備の機材が、滑走路の端に並んで着陸機をやり過ごす光景が見えた。
尾翼のロゴ・サインは、何となくルフトハンザのようだ。何で北欧系のフラッグが、南半球の小島に飛来するのであろうか?と、疑がう。
この疑問は、後日内陸のウブドに移ってからほぼ消えた。我が聞き耳とジャラン・メジャーの顔つき観察からして、現実に欧州方面からの入込みは多いと感じた。
浜辺の散歩は、あまり長続きしない。間もなくキョロキョロし始める。老人の特技に廃物投棄の要求が早いと言うのがある。
捜し物はあるにはあった。
渚と平行して道路が走り、路側のフェンスが浜辺ゾーンを市街地から区画している。石造りのフェンスで異様な飾りが付いている。
フェンスに所々切込みがあり、浜辺に出入りできる。目指すトイレはその辺に飛び飛びにある。
やや近寄る。なんと、有料だ。
壁に紙、手書きの数字、徴収係らしい黒い顔の人物。建物がまた,半ば砂に埋まり古色蒼然。
やめた。
別に有料トイレだから、引いたのではない。スイスにも東京にもあるし、事後の利用感つまりサービス内容と支払額との間にギャップが無ければ良いのだ。有料トイレへの拘りはそれだけだ。
今になれば、外国為替の妙?邦貨換算20円だしと思わない事も無いが、クタの浜辺で閃いた結論はインリーズナブルだ、やめろ。であった。
現地通貨を両替した直後で20円相当のそれを持ってなかったこともある。コインならまだしも紙幣で払う胡散臭さもまたあった。
東南アジアは、「とうなん」と発音し盗難のアジアを連想させるが、外国人からふんだくる所謂2重価格制への嫌悪もあった。現地人と差別は現実にないかもしれないが、臭いものに蓋も困る。
そこで散歩を打切った。大通りのジャランジャランに切替えた。やがて、スーパー・マーケットを見つけ、やや快適かつ出費なしでピンチを脱したのであった。
幾分切羽詰まっていたので,スーパーと片付けたが、ノンカテゴリー・ストア集積だったかもしれない。
そんな呼び名は、どうでもよいこと。がしかし、このような商業集積は今やどこにもあって、海外旅行への興味を削いでいる。非日常との遭遇が海外に出る原動力だが、そのダイナミズムが急速に消えつつある。
グローバリズムなるものがこれとどう係わるか?よく判らない。だが、地域固有のエスニックな個性が世界各地から消え、世界中がどこもノッペリした同じ表情になってしまったら、旅行に出る楽しみは失われるだけだ。
もう20年もなるだろうか。西海岸訪問で持帰った土産は、迂闊にもUSA現地産品が皆無だった。
パスポートを示す以外に、渡航を証明する手がかりが無かった。以来モノを持帰る旅はやめた。
やがて、USAに出向く事すらやめてしまった。わずか5回の訪米だが、度を超すデブが多過ぎる社会に呆れ、旅先から外れた。我が旅行にガリヴァーチックなファンタジー覘き趣味は、そぐわないと思った。
Kuta beachは続きます