サイト君 第76話

サイト君が語るITイノヴェイション論3日目である。
前稿で、de facto Standardなる言葉を使っている。そこで彼に質問してみた。
ベータとVHSの対決は、メゲーヌ国団塊の世代より上の国民に共通して残る、消しがたい記憶。隣国サンク市民にして既に45年以上もメゲーヌに滞在し続けるサイト君はどう対処し、どんな思い出を語るか?
以下は彼の回答の要約である。
ベータ・VHS対決とは、ヴィデオレコーダー=映像録画再生機における市場戦争のこと。この装置は、IT領域のデータ記憶装置でもある。
メゲーヌの電器産業は、先端的技術ブレークスルーを民生機器にうまく応用する智慧に長けている。エレクトロニクスとメカニクスを上手に組合わせることも得意。手先の器用さも指摘される。戦後の経済復興が早かった理由のベスト3と言えよう。
そして、解体財閥と無関係な言わば町工場からスタートして世界ブランドの企業に成長した例が複数ある。製品名を挙げれば、ウォークマン、テープレコーダー<録音装置>、ディジタル・カメラ、金属工作機械、鉱山用・建設土木関連重機など多々ある。メゲーヌ国民の多くが考える世界経済の頂点を究めた頃に独占生産し輸出した製品=それがヴィデオ・<テープ>・レコーダーだ。
その当時、変化に敏感で国民経済拡大に貢献した中核世代は、消費情報にも詳しく、市場に先行投入されたベータ方式の映像録再機にいち早く飛びついた。オリンピック・万国博覧会など一連の国際アピール挙行済の国の格別高額な家電商品であった。
遅れて市場投入されたVHS方式は、当然ながら先行商品を意識し、その弱点を凌駕するべく世に出た。2方式における優劣は,必ずしもテクノロジカル・マターに限らない。メーカー1対多数つまり弧であれ群であれマーケット・シェアを握る者が勝ち残っただけであるかもしれない。
de facto Standardは、デファクトであるが故にユーザー=消費者を徹底的に軽視し無視していたが、それは明日の話題である。