サイト君 第75話

昨日に引続きサイト君が語るITイノヴェイション・リポートの2日目である。
通信とは或る人が他の人に自らの意思を伝えることだが、この行為には間を繋ぐ媒体が必須。月の夜の木陰の語らいに、声=音波を伝える空気。それだ。
古代ギリシャマラトンの戦場から走り始め勝利を報じた伝令はスピーカー役。お市の方から信長へ贈った小豆枕は手紙警報の代役を果すポーター役。恋心を当人に代って伝えるメッセンジャー。恋文を運ぶ郵便配達員。と、昔の通信はモノとそれを運ぶヒトとの組合わせで成立した。
その後マルコーニやベルの発明、海底電線網の構築など、媒体の多様化・複雑化を経て今日に至ったが、通信の高度化に関する固有の課題を3つだけ掲げる。
1、遠方通信に付きものの時間差
2、隔地間通信における一方通行
3、通話者相互間の同時拘束
この制約は、当節のインターネット・インターラクティヴ環境では、結果的に解消され忘れ去られてしまっているが、マルコーニの無線通信と海底電線網の構築が1をクリアーし、G.ベルの電話は2を取り除いたが3の課題をもたらした。
インターネット・e-メイルでは、運用次第ながら、1〜3の関門を難なくクリアーしている。
モノ媒体の運搬を伴わない電気通信の出現は、最近約160年間のことだが、個々のコンピュータに備わる固有の異質性であるデファクトスタンダードをクリアーしてwwwネットワークに繋がる環境が現実になったのは、略15年前の昨日のことだ。
インターラクティヴの機能を技術的に解決するためにはショックレーのソリッドステート発明を経て、大規模集積回路の普及、パケット交換方式・通信プロトコル協定など、様々な課題のクリアーがあった。通信手順・規約の標準化などは技術周辺要素つまり標準共有の課題で、一旦実現してしまえば過去の事として忘れ去られやすいが、全く消えた課題ではない。
明日に続きます