サイト君 第73話

7月が来た。原発事故が起きた後の発送電会社の、最初のおそらく最後となるであろう株主総会は終った。
世界有数規模の名門発送電会社だが、株主提案があったにもかかわらず何らの方向修整も反省をも示さず,ただ社長の顔を入れ替えつまり外見を繕ったまま企業経済の世界から消え去る道を選んだ。
会社と言う文字は、社会と言う言葉をひっくり返すだけだが、会社のルールと社会のルールとは、こうも食い違うものかと驚く。
社会における意思決定方式は、構成員1名につき1票だが、会社=株主総会は株数に比例する方式、つまり金持は貧乏人の意見を無視し否定することが出来る。会社には反社会の意味もあるのだろうか?
この250年の間、多くの意思決定は、法の前の平等なる建前の下、少数の金持の都合に合わせ、世界大戦を遂行し,貿易の自由を金科玉条の如く押進めて来た。
現れている氷山の一画も隠されているその10倍の実像もともに欺瞞に満ちている。大きな嘘で満ち満ちている。嘘と言う言い方がオーバーであるとしたら、言換えよう。物事の一面だけを言い募り、金持にとって都合の悪い部分は押黙りもみ消して来たのだ。と、、
黙らせる方法に、物語を壮大化して欺瞞する仕掛や話題をこんがらかして議論を拒む。疲れさせ・痺れを切らせる。科学と技術をごちゃ混ぜにして大衆をケムに巻く。この錬金術師が使った手は最も有効だったかもしれない。理解できん奴は裸の王様同様笑い者にされるぞと、不安を煽り脅すのだ。
普通に水を沸かし熱湯で発電するだけの方式に、原子力エネルギー=核物理学を持出す必要が果たしてあっただろうか?
その子供騙しに皆がしてやられ、先祖伝来の家屋敷を捨てて立退くリスクまで負ってしまっている。
核の安全神話など、神の実在や死後の世界をさも体験したごとくリアルに語る坊主説教と大差ない。
大きな物語に酔い痴れる愚行は,3月11日までで終わりにしたいものである。と、サイト君は語った。