サイト君 第71話

昨日に続き、サイト君は生産と居住を語る。
生産の様式とは、人が生きるため自然に対して行う働きかけのことを言う。
ただ現代で働くと言えば、雇われて俸給を受取るスタイル=つまり迂回生産方式が普通になり、先進かつメジャーな職業とされており、生産的労働の本来の姿が見えなくなってしまっている。
地球において真に生産を担うのは植物と微生物であって、全ての動物は寄生的存在でしかない。人もまた動物に属しその亜種であるから、寄生者である。
農業革命以前は、専ら自然産生の動植物を狩猟・採取して暮らす存在、高位捕食動物の一種であった。
亜種とするのは、栽培・養殖により食糧の増加に対して積極的働きかけつまり農業を始めたからである。その変種性に注目して受動的寄生の在来動物種と区分したに過ぎない。霊長類などの格別な用字づかいや、人は脱動物的存在とみなす考え方などは適切でない。
もちろん、農業類型の遊牧型も栽培型も基本において大差無いが、人の居住スタイルや社会のありようなどは、生産様式の違いによりかなり異なってくる。
人口一つに着目しただけでも両者の差は大きい。
遊牧型は定常タイプ、栽培型は爆増タイプである。
タイプ差が生ずる原因は、植物の人為による変種化は容易なのに対して動物のそれは困難なことにある。
人口過剰問題は,この250年の経済体制である産業社会において最高に解決困難な課題である。その点で統合科学的合理性は人口定常システムにより近い遊牧型にあると言わざるをえない。
明日に続きます