サイト君 第70話

サイト君はサンク国市民にして、隣国メゲーヌ滞在が連続45年を超える。そして、その生き方は、結果として短期定住型である。つまり45年の間にもう20カ所ほどを移住してきているから、平均での1カ所の滞在期間は2年半となる。
このような暮らしは、遊牧で生計を立てる種族では当り前でもっと短い。最近ジャスミン革命の余波で国内が混乱状態にあるアフリカ某国の元大佐にして独裁者の某氏が、国連演説でニューヨーク出張中にテント暮らしをしたと疑われ揉めたことがあった。遊牧民の住いは、飼っている動物が草を求めて移動するので、それに連れて住居も移す。それで住まいは、軽い素材と小さく分割された部材とで造られ解体と組立てが容易な構造である。
ここでサイト君にインタビュウ。転勤の多い職業に就いていたか?=例えば、軍人or税メンとか?
答はいずれもノー。ではなんで、そんなに度々?
ウーン、理想は定住でしょう。蔵書が2万冊もあると引越費用が無駄の極みだ。ただ事情があってね。花粉症、暑いのも寒いのも嫌い、雨が降り続くのも苦手。でも、最大の理由は,メゲーヌの不動産価格が高過ぎること。価値以上に価格が高くて、手が出なかった。でも、価値と価格の関係についての質問には答えたくない、この部分はリリース・カットね。
現人類の祖先は、アフリカから出発し陸路移動での最遠地=南米大陸の南端まで到達した〔グレートジャー二ィ〕を想い起こすと、結局理想の定住地は見つからなかった。そう解釈でき結論となる。
それほど、人類の[好奇心]は強く、理想は高いのだ。
たしかに、サイト君も〔高・稀・新〕が強いようだ。
明日に続きます