サイト君 第65話

サイト君が語る故国サンクの話、隣国メゲーヌ滞在が45年超の長さになることもあって、2つの国を対比して語る事が多い。
サンクでは、この度の地震津波のような大災害の時は、複数の行政執行トップを置くことができるようになっている。それは単純に言えば、リーダーの質的不足を数で補おうとする窮余の一策?であろうか
これをメゲーヌに置換すれば、複数首唱制だが。おそらく一蹴されることであろう。
君主制の伝統しかない、世界から2周回半遅れるメゲーヌ人の反応は、想いも及ばぬ、あり得ない、許されない、とんでもない勘違いの一色であろう。
一応の新憲法なんぞも、建前として「新」のタイトルが付いているだけ。タイトルと中身が異なる、言う事と行う事とは往々にして逆転する、それがメゲーヌ流政治の本質的実体なのだ。一寸先は闇で新・信のどちらも存在しない。
形式的には選挙なる民主的形式を経て間接的ではあるが、一応国民が選んだ事になっている首相だが。いつも公の場では天王に最敬礼するのみ。主権者であることになっている国民からは、尻しか見えない。
その昔君主と下々の間に立ちはだかる役に当る関白が、時代が下って首相と呼び名が変わっただけ。実体は已然君主制なのだ。とサイト君は言う。
欧州最古の歴史を誇るイタリアだが、意外にも統一されたのは19世紀になってからだ。長く続いた分立時代の小国の中に短任期統治制と複数統治者制を敷いた例が多々ある。
いずれ権力の集中と固定を畏れ、集団合議制を維持するための仕掛であったと解される。
どんな制度にしろ欠陥は避けられない。
でも説明と話し合いは欠かせない。サンクにあってメゲーヌには無いものだ。とサンク君は語った。