サイト君 第59話

今日のテーマは、未だ答がみつからない課題を取上げる。そんな課題はもちろん星の数ほどある。サイト君の選んだテーマは、市場競争と地球環境であった。
切口もまた無数だが、答に至るためのキィーワードを掲げ着手点を示すとして、まずタイトルの定義をしよう。
市場競争は、産業革命後の産業社会における経済活動のパラダイム(=時・空2領域の限られたゾーンの中の多数の人が主導原理と認識する方法論を言う)は、スケール・メリット追求であった。
次に地球環境。
これは現代の科学をもってしても、対象の全貌もその属性もよく解らないままだ。ただ最近の50年、統合科学(=学際研究の集大成によって総合的に整理された科学的知見を言う)が著しい進化を見、分子物理学的データをもって宇宙と地球の相互の関係を説明しつつある。
ここからサイト君は、一挙に問題提起に移った。
個別資本が経済競争の場で生き残ろうとする方策には、単純化して考えると2つある。棲分けを選ぶ質的(=スコープ)展開と量的(=スケール)拡大の2大分岐だが、一神教世界の白人は、単細胞的に後者つまり規模の追求に邁進した。モノを作り売ってカネを得る、そのカネを大きく積上げる短絡行動だ。
その生き方には3つの欠陥が内在している。
資源が有限であること、カネは生命維持に何ら貢献しないこと、行動結果は人口膨張を招き寄せたこと、そしてこの3つはいずれも環境破壊因子だ。
今IT革命が進行し、産業社会から情報社会へ移行する途上にあるが、規模拡大パラダイムは已然掲げられたままだ。このパラダイムの欠陥は、生命システム維持に不可欠な要素である多様性の追求(=経済学のスコープ・メリットに近い)とリスク分散を軽視することにある。
地球は、生きとし生けるもののための場であって、人類だけが自由に規定する場ではない。
今日はこれまでとします