サイト君 第57話

サイト君が語る彼の故国サンクの政治・経済・社会の3界紹介談は、第42〜56話と約2旬間で終った。
今朝はその番外編、某ラジオ局の特番でふわーっと聞いてしまった話。
この3月大被災を受けた東北の一市町村が、電波を管轄する中央行政府に対してコミュ二ティーFM局の開設申請を口頭で行い、認可を得たと言うのである。
サイト君にとっては、耳を疑うほどのエポック・インシデントだったようだ。
コミュ二ティーFMとは、各市町村が地域住民向けサービスとして臨時に設置する防災情報を流す放送局だ。先の大地震津波で既設置の有線が壊れて、リリーフ登場した当分の間の措置だそうだが、大事件なのは口頭で受理された事実である。と、彼は言う。
明治政変以来、枝葉末節・本末転倒と実体よりも手続きに拘ることに汲々してきた、時代錯誤かつ無謬本尊何より大事の先例主義一辺倒の中央行政庁だが、なんと今回は両手に余る文書申請提出に代え口頭申請を受理したと。それを聞いて、やっとメゲーヌにも21世紀が来たことを感じたと彼は言う。
電波は天賦の資源の中でも、宇宙資産クラスの希少材に当る。人類のニーズに応ずる形でその供給を増やせない点において最も希少価値性が高い。有限な通信帯を細分化して狭域利用させる技術進化をもって、僅かに利用拡大を稼いでいるに過ぎない。
サンクでは天賦の資源は、なべて国民総有資産でありその管理を行政庁に付託しているに過ぎない。国の主は申請する市民の側である。所定の書式を使い文書提出に限るなど=枝葉末節・本末転倒を押しつけたり、無謬・高圧など時代錯誤の対応もまたあり得ない。
短期任期制公開応募による職員採用がもたらす人事の流動化が最も有効に機能した。これがやれれば隣国メゲーヌも変化するねと、彼の眼は興奮気味に輝いた。
今日はこれまでとします