サイト君 第49話

隣国メゲーヌになんと45年の長きに亘って滞在するサイト君はサンク国の人だが、多くの周囲人はそれを知らない。その彼が語る故国談も間もなく50話だ。
サンク国は、最短距離にありながらもメゲーヌ国民からは歯牙にもかけられないばかりかその存在が全く知られていない。サンクの社会の仕組は、多くメゲーヌを参考に作られている。だが肝腎の部分は、独特のアレンジがなされた結果、サイト流に言えば極めてリベラルなコミューンが形成されていると言う。
サンクでのコミューンは、政治・経済・社会の3界を明確に区分し、その分界の間に壁を設ける事で、権力の分散を図るように基礎設計が行われた。
今日はその第2界=経済界各論7稿目で、金儲け論への対処策である2つの規制措置を語る。
2大産業分類を設定し、第1次産業とそれ以外の産業とでは使用される通貨が異なるよう措置したのだ。
その通貨に関する政治施策とは、第1次産業で資本化しない通貨を使う。と言う耳新しい内容だが、その本論を述べる前にサイト君は通貨とは何かについて述べている。
通貨論は経済学においても重い課題なので、ここではサイト君一流の「臭い話」をはしょってキィー・ワードによるワープに務める。
そもそも通貨は、経済取引を迅速・簡便にするための安易化装置でしかない。おカネを持っているだけでは何の役にも立たないことが、東日本を襲った地震津波で一層はっきりした。BOJ発行の紙幣を食べても空腹は満たせず、燃えて車を走らせる事もまたなかった。
次にサイト君は、おカネの種類を人類史を俯瞰しつつ実物貨幣と印刷紙幣などの無実体貨幣と2つに大別して論ずるが、その紹介は明日の稿とする