サイト君 第47話

前稿において、第1次産業とそれ以外の後次産業とでは、交換決済手段=貨幣が異なる、サンク国特有の社会性を強く反映した通貨上の政治施策を紹介した。
そして前稿の最末尾で、その施策は「一見 前代未聞の施策である」とサイト君は述べた。そのような言い方をする背景に、メゲーヌやボウの国の現状からは理解されにくい制度施策と思う、彼の配慮が伺える。
その上で彼は続ける。制度施策など社会科学分野のルールは、所詮人が集まって決め・維持してゆくべきもの、基礎となる社会情勢が変化したら、再検討・審議しタイムリーに変化させて行くべきである。と、
ある時期に制定されたものをありがたがり、いつまでも手直しをしない地域社会があるが、それは旧制度に胡座をかいてうまい汁を貪る富裕の者達が既得権を手放さないからだ。階層が固定化してしまい、秩序の固定を狙って金科玉条とばかりに既成観念を教育現場に押付ける。そこまで歪んでしまうと若者は行動しない保守主義堅持者に変身し、そのコミューンは眠ったように沈みゆく。一国がメルト・スルーから水没へと末期症状を迎えている懸念がある。
「一見」と留保をおく意味はこうであると言う。
既成の決済手段以外に臨時的・経過的通貨の流通が発令された例は、歴史的事実として多々あった。地金通貨と別に藩札が使われたり・明治政変後の秩禄処分なども広義のダブル通貨政策と言える。現代中国の一国二制度や戦後の新円切替なども経過措置としてのそれに当る。と、
サンク国が採用した通貨と産業のありように関する措置の詳細は、明日のテーマとします