サイト君 第35話

前稿で、メゲーヌには”内なる平和”を希求する装置がある、序列主義や議論をさせない仕掛がそれ、とサイト君は思っているらしいと紹介した。
メゲーヌは、期せずして備わった自然防壁である四海に囲まれて平和だ。「神の国・神に選ばれた民草」と想い込む素地は十分にある。
その有り難みは往々にして忘れられ(それもまた人の性であるが)、メゲーヌでは無意識に壁を建て、他者を排除し、対立の因となる。と、サイト君は言う。
メゲーヌの人たちが築く「壁」とは,独特の時・空スケールつまり時間と距離の物差でもって個人個人を測り、固定した枠にはめ込もうとするローカルの「他所者(よそもの)デシジョン」の事だ。と言う。
面前に居る人の個性・人柄を即席・率直に見極めることをせず、その人が誕生した時代や出身地を聴きだし、既成の枠に当てはめ終ってから、やっと安心して当人に向き直る。
それがメゲーヌ流の人あしらいなのだ。と、、、
例えは噂話だ。明治人気質とか、トラ歳に生まれた女とか、素早く型にはめてしまう。それが識者としてのセンス、気の利いた才覚ある話し振りと受けとめられるように、「他所者みきわめ」を急ぐのだ。と言う。
その指摘は、大袈裟過ぎる嫌いなしとしない。そこで西洋にも星座占いがあるぞと言い返した。占いは、当の本人が自発的にアクションするもので、行って還るほど違うよ。と、返された。
自ら個性を見いだす努力を怠り、タイプに放り込んだら終りとする安易さは、血液型人物評の根底にある差別意識と同根でもある。と、、、
さて、時代括りだ。明治政変からこっち、テンシの年号でもって、その歴史区分を行い・時代抽出をする「ならい」のことだが、そこに起承転結の合理は無い。
でも、この括り方は、この国では大手を振るって大道を堂々と闊歩している。
神話が生きている「神国」現象。と言いきった。
今日はこれまでとします