サイト君 第34話

新聞の文字がタテ書きで判型が大きい。これはサイト君が45年前メゲーヌに来て発見した驚ろきだが、今になってもその驚ろきは消えないと言う。
外来人・メゲーヌ国長期滞在者であるサイト君固有の目線と言っておこう。
タテ書文字も判型の大きいのも、とかく不便で不合理だが、メゲーヌの人々は何らの異も唱えず、ひたすら耐え?続けている。
猛烈満員電車の中で職人芸を披露する名人もいる。
ある日サイト君は、職場で話題にしたそうだ。
実況中継である。某氏曰く、
新聞の判型が世界でどうなっているかって、タブロイド判や週刊誌大に移行して既に久しい事、直近は電子判かネットツールに代わった世界の潮流など、メゲーヌのサラリーマンはとうに知ってるよ。
十分知りながらも自らは全く動き出さない、それがメゲーヌの一流人なんだよ。
新聞を読んだと思わせる、読んでいると見せる、
そこが、狙いなんだょ。
判型の大きいのは、遠見にも目立っていいねえ、、、
本文のタテ書き、ヨコ文字、どうでもいいんだわ、、、本文まで立入る?そんな読み方は、誰も考えない。
皆、忙しい振りを演じたいからねえ、、、、
演技に使う小道具なんだね。新聞は、、、、
見出の大文字だけ、チラ覚えしとけばええよ、、、
見出の大文字だけで、中央でも地方でも社会のコンセンサスが瞬く間に固まってしまう「金太郎飴のようなタコツボ社会」
その揺るがない仕掛を、サイト君は一挙に展望してしまい。それで一層深く悩むことになったらしい。
新聞もデパートもTVドラマもみんな同じ、要はワンパターンであれば最高なんだよ。
途中の進行なんぞ、どうでも良い。
プロセス抜きとにかく決着。早ければ、それで良い。
地下であれば食品売場、20時40分過ぎに印籠、それで速やかなる終盤だ。固定・定番・全員整列の金太郎飴こそがメゲーヌの牙城。ガチョーン
早メシ早クソ芸のうち、印籠痔瘻はコウモンに付きもの。と、最後は臭いシモネッタ?落ちまで聞かされたらしい。
メゲーヌ人は、行き先や経路がどうであれ、拘らず、迷わず、まして議論一つすることなく、皆でとにかく急いで、同じバスに乗りたがる国民性=このバナンスの特性にサイト君は危惧を感じると言う。
この大盤石を3月11日の地震・大津波が壊したかも?原子力発電所数個の壊滅が、拙速決着・多数速決・超々安定を装ってきた、この国の秩序構造を基礎土台から壊したのではないか?
壊さないまでも、隠され続けてきた構造の一望俯瞰図を曝け出してしまったかも?
タテ文字の記事は、中身はどうでもよく、キャッチフレーズとしての短さ、話題としての新らしさこそが大事。立て板に水が流れるように四文字七発音が、最高ランキングだ。とか?
大衆をして、誰よりも早く権力になびかせ、すべてを投げうって乗合バスに乗せる、それが新聞の見出をでっち上げるペンホルダーに負わされた使命であるとか、、、、
メゲーヌの民草は、見出キャッチフレーズに煽られ踊らされ、先兵になって走り出す、、、なんと純真無垢なガバナンスなのであろう。
議論をさせない、考えさせない、ひたすら従わせる。
とにかく論じない事が”内なる平和を構築する”と考えているフシが,タテ文字書きには見え見えだ。
そんな平和は、見せかけであってホントの平和なんかじゃないぞ、、、
かく言うサイト君の心配は、なんとも余計なお世話で笑ってしまう。
メゲーヌの民草は、明日食う餅をあしたもモチ屋で買うんだよね。やっぱり・・・
今日はこれまでとします