サイト君 第26話

サイト君の故国サンクは,隣国メゲーヌを参考にして国の基本を打建てたのだと言う。
今日はサンク国群団処遇編の第2稿であるが、群団とはつまり人間の集まりのこと。世界中でこの250年ほど会社と呼ばれる急増急成長した経済利益追求団体が採る、余りに過激な行動をどう糺すかが、彼の論調の中心課題らしい。
会社員層が圧倒的な数になり数世代も継続するようになり社会の最大多数派を形成し常民化して固定的マジョリティーになると、社会は明らかに変質してしまいもはや市民社会と呼べる世界ではなくなる。
第1稿で5つのキーワードを挙げたが、会社員層の生態は会社に全てを委ねその陰に自らを隠してしまう「顔無し」の思考・行動であり、社会にとっては不都合な歪みのある生態である。
アダム・スミスが喧伝あい務めた分業に拠る専業、大量生産、見込生産方式の経済活動は、膨大な不要物化する商品と自然環境への負荷とパーツ機能に特化し歯車のように労働するゴツゴツした主権者を吐出した。
何故そうなるか?会社自体があまりに過剰な存在となり、その行動力の累積総和が過激であり、会社で労働者として有能さを発揮する人物が往々にして自らの五感を使って自らの考えを形成し発信する人格陶冶を怠りがちである、など。概して社会全体に害悪をもたらすならいとなってしまったからである。
更に会社の巨大化や国境を越えての活動が、国の規模を超え公共団体以上の組織力を持つなどして地域社会を歪めてしまっている。
20世紀の世界大戦、原子力技術の産業化や軍産複合体*の肥大化は、市民社会の良心をくじくことで起った最大の汚点でもある。
群団は、そのような危惧すべきものを抱えつつ競争する生態を備えているので、その虞れを除くことなしに安定した平和な世界は実現しない。
そこでまず行うべきことは、人から法人を切離し、法人の主権行使に制限を課すことである。
*注=military industrial complexの訳語。ボウ国大統領アイゼンハワーは退任演説において軍部と航空宇宙産業界との緊密、癒着の関係に言及したもの
明日はサンクが法人に課した制限について実例を紹介します。