サイト君 第24話

サイト君の故国サンクは,隣国であるメゲーヌ国を教訓にして社会のあり方を構築して来た。今日は、国民自らが主権者としてどのように政治を主体的に動かしているか?つまりサンク国のガヴァナンスの状況について紹介する。
サンクが地域主権団体であるローカン州による連合政体であること、サンクの担当領域が憲法と国際外交のみで、それ以外の市民生活などほぼ全般領域をローカンが担うことは、既に第17・18話で紹介した。
この行政2階梯、互いの裁量領域が重ならないシンプルな構造が、地域住民とローカン州との距離の近さを保障した。その結果、住民パワーが溢れ効率よい行動成果をもたらし、地域の風通しが良く住民意思に沿った社会形成が実現した。
その一例がローカン州の数の変動にも現れている。ローカンは地域一体性を第一の絆として自由に形成されるので、その数は不定だし常動的でもある。
ローカンの大小を構成する住民人口数や担当する行政区画面積をもって論ずる文化は存在しない。他方でローカンをまたいで移住する自由もまた保障されている。
サンク市民は、より居心地の良い方向にローカンを変えるか、風通しの悪いローカンから速やかに転出するか、のどちらかを朝飯前の軽やかさで励行する。
メゲーヌ国のように選挙における投票行動のみが政治参加であると思う、いじけた自己規制ガヴァナンスを貫く政治難民化した市民は全く見られない。
政党助成金も議会での党議拘束も無い。政治家に対する報酬は議会出席日当のみ支給される。議会出席率・発言内容・投票行動・発言と行動との一致度・立法提案の質と量などは常時公開情報である。市民公聴会を開催して議員人格度のチェックは随時行われる。政治センスとはそんなものとサイト君が言った。
今日はこれまでとします