サイト君 第23話

今日は引続き、消えゆく輸送に置代わって伸びつつある情報通信のテーマを語る。
昨日、サンク国が構築して成果をみつつある情報ハイウエイのことを述べたが、いきなり知的財産権に話題が及んだことに違和感を感じたかもしれない。
知的財産権とは、文学・音楽・映像・演劇・芸能などの創作から特許・新案・意匠・商標などの経済活動に直結した領域まで幅広い。ブランド指向とか、デザインマークでグッズを選ぶとか、現代生活はモノそのものの効用よりも,持ち物に付いている記号・標章の方に重きを置く時代であると言えない事もない。
一定の起承転結を備えたアイデアは、便利さや快適さの形で人類に何らかの恩恵をもたらすことで多くの人から賞賛を浴びる一方、知的財産権として登録・公開することにより開発・発明者に経済的対価をもたらすことがある。
あえて登録をしない賢さを備える哲人も存在する。
サンク国のように経済的対価よりも社会的顕彰の方に重きを置くやり方もまたある。
そう、知的財産権を権利として公権力が保護する仕方は様々であり、足元の国が採用する特許制度もまたパラダイム推移如何によるから普遍とは言いがたい。
知的財産権の保護の構造こそが、輸送量を増やし新幹線や高速道路などの前時代的移動インフラ投資を促す元凶なのである。
知的財産権登録をしない賢さを備える哲人の発明は、正統に社会的評価をされ、広く産業活動に公知の手法として積極活用されるべきである。
そうなれば、例えば、モノづくり工場や名医に拠る高度手術の場面を想像してもらいたい。
異なる複数の場所を高速情報ネットワークで結ぶ事で、ヒトの移動を全く必要としないかもしくは最短距離の移動でもって空間の壁や距離による隔差が解消される。
小規模な最適施設を各地域に分散配置することで同質の物質やサービスを各地域で等しく時間差なく受けられる。
ここで憶い出すのは、コンピューター展開期に一代で世界トップの大富豪になったゲイツ氏の事だ。情報革命進行期の一個のITソフトウエアをパテント扱いし、産業社会の仕組でしかない特許保護の対象としたことに不可解さを感じる。
コンピューター・システム自体展開して70年だが、他の大型システムである自動車・原子力発電・新幹線・フロンガス・飛行機と同じく、一時代に花開いた徒花の道筋を辿らないと言い切れない。
そのことを示しているのが、リーナス・トーバルズ氏の透徹した賢さであった。
今日はこれまでとします