サイト君 第20話

昨日、サンクに固定資産税に当る税が存在しない理由を説明したので、サンクの国や文化のありようを概ね理解して頂けたものと思う。一言で要約すれば、人類の歴史において始まりの頃の人界は階層も序列もなく、誰も他人を従属させたり他人から収奪する事がなかったであろうことに由来する。
個人が暮らしてゆくために必要不可欠な物に対しては課税をしない。自立自存あるがままに生きるを自然の姿とする思潮だ。
生存のための必要物とは主に衣・食・住のための基本素材をさすが、個別具体的なモノの課税・非課税の区分けについては、サンク連合国の構成社会単位であるローカンごとに異なる。
土地税は憲法に則りすべからく無税だが、土地の上に建てる住居の方は憲法が定める自然物でないし、解体・搬送・再構築が容易な構造であらねばならないとの公定の制約があるから、土地に付着する固定資産でもない。そう、家は生存のための必要物に限って非課税とされるのだ。
いささか細かいが、ここからローカンごとに税区分が異なる理由を説明する。地域市民の一部には、外観や構造のうえで公の定めに従うように見せてひそかに実質は石造の家を建てる例があった。
各人が建てる家はローカン住人の総意をもって予め決め公示された構造パターンから自由に選ぶのだが、石造や2階建ての家屋プランはない。
それは公の定めだから、地震災害などに対する配慮つまり住人の安全への配慮に加えて、住人自身による解体・再構築を前提とした工法上の工夫も折込まれているからである。生存のための必要物であれば、他人の手を借りず住人自らが建てるはず=自立自存の思想潮流から派生した定めなのだ。
だからと言って2階建てや石造の住宅に住みたい人を誹謗し排除する事は無い、個別申請させて例外措置として重い負担則ち例外的住居税を課し、一括一時納付をさせて許すのである。
ダイヤモンドや金の指輪も、直ちに必要物とは言いがたいので例外的課税対象にし個別の税率をどうするかはローカンごとに異なるとサイト君は言った。
今日はこれまでとします