サイト君 第14話

昨日のサイト君は、足元に起った世紀的大被害に絡めて、現代のパラダイムについて語った。
パラダイムは、前稿までに3つ紹介されている
 1ファースト・・・より早く,他の誰よりも
 2シークレット・・秘密にする、他者排除
 3ビッグ・ドリーム・・大きな物語、他者を          出し抜き、独り生き残る
この現代パラダイムはメゲーヌ国だけでなく現代世界共通の主導的決定原理である。
約250年前に英国で起った産業革命の、そして瞬く間に世界に広まった産業経済社会共通の原理でもある。ともサイト君は指摘した。
メゲーヌ国の場合、これに明治政変後のスタイルである軍制主義的官僚統制に学閥型序列制が合体して生じた不平等と、雇用閉鎖社会が生み出す大勢の分裂人格者集団の問題とが加わる。
市場競争・個人利得の徹底追及がより厳しく固定される点で、欧州型市民社会とは一線を画す浸食された、まさにタコツボだ。と彼は言う。
アダム・スミス*は、産業革命勃興期にこの仕組を推進させる立場で理論構築した俗流経済学者だが、当時先行し並行進行した大航海時代の悪逆非道の思想潮流に対して沈黙すべきでなかった。そこに彼の哲学の乏しさがある。
大航海時代を拓いた巨大な原動力は奴隷制であり、奴隷があらゆる意味でエンジンであった。
人間を奴隷として遠く別の大陸に運ぶ=移動の潮流思想が害毒の全ての元、奴隷貿易で蓄積した財貨が産業革命の原資となった。奴隷貿易が廃止されたのは、1802年デンマークからだ。
カール・マルクス*は、科学的社会主義の立場から資本主義の脱皮=変革を求め運動した。
競争原理は人倫に悖る反道徳を招く仕掛だと指摘したが、地球環境を破壊へと導く生態学的不合理面を強調しなかった。
さて、困った事だが、今日の産業社会の法秩序は、大航海時代奴隷制度を継承していて、未だその本源的な不合理を全く排除していない。
*注
○A.Smith(1723〜90)。英国、経済学。主著「国富論」。経済学の父とも呼ばれる
○Karl.Marx(1818〜83)。ドイツ、経済学・哲学。主著「資本論」。古典経済学・資本主義を批判し、次の世の仕組を夢想した
今日はこれまでとします