サイト君 第3話

今日はサイト君の不思議な行動の一面を紹介する。
彼は時々静かになることがある。
名付けて迷走タイム。ホンの2〜3分だが、「ねえ、サイト君」と呼びかけても返事をしない時がそれだ。
彼の姿はそこに存在するのだが、意識か魂かがワープして遠いところに退避しているのかもしれない。
迷走タイムから復帰して来た時の彼の発言を聞いていると、確かに場の雰囲気と異なるモノがある。
ある全体会議が開かれていた時だ、主催者が彼の意見を求めたいと突然に指名した。隣の同僚に軽く小突かれて、サイト君は迷走タイムから復帰した。咄嗟に彼はこう答えた。
「会社は軍隊ではないのだから・・・」
サイト君の発言は判らない事が多いが、もし感ずる事ができれば、これほど場の空気を短いコトバは他にないと言えるほどだ。その日の会議は、所謂組織決定らしい結論を明確にしないまま散開した。
会議を催した上位者は、後日何度か「電報スタイルで話す奴がいる」などと放談したが、部下は誰も応じないから、早晩立消えした。
下っ端の者達は、陰でサイト君を評価しているようだった。
膠着状態を脱することが出来た『会議打切りの緊急動議』なのだが、サイト君自身はそこが判らず、普通の事を言って何が評価なものかと呟いた。
今日はこれまでとします