泉流No.2 違い夢

* 珍しく 一字違いの ユメを見た
〔駄足〕 この年齢になるとユメを見ることはほぼ無い。年に数えるほどあるかないかだ。
かと言って、それほどよく眠っているわけではなく、朝が早く明けるか、スムーズに寝つければよいと念じていることが圧倒的に多い。
元旦の夜もいつものごとく、暗いうちに眼が覚め、その時ユメを見ていたことに気が付き、おやおや珍しいと思った。
ユメの中身をかいつまんで述べると、例によって、実につまらない、間の抜けた話であった。時空はいつのことか、どこかはよく判らないが、日本離れした景色のキャンパス食堂だった。あえて情景を絞り込めば、UCLAで見たようなライトオレンジ系の明色が溢れていたが、カンバン文字や登場人物の会話などはすべて日本語で通じたようだった。
状況はこうだ、最初の昼食では出遅れたため、定番メニュウのAコースを食べ損ね、已むなくBコースを食べたのだが、質量ともに満足できず、次回サービスタイムに再チャレンジ。
早々と行って、地べたに座り込み、一番シートを確保したのだった。
だがしかし、この度も念願のAコース定食にはありつけず、むっとして眼が覚めたのであった。
実にしまらない。で、目覚めてから、どうしてそうなったのか、ユメの筋を憶い出してみた。
原因は判ったが、もう眠りにつく心境ではなかった。
さて、どうでも良いことだが、元旦から二日にかけて見る夢は、初夢と言わないらしい。
これまでもうなされて目が覚める悪夢を除き、ユメはまず見ることも,起きてから覚えていることがないので、ハツユメ云々が話題にすらならない。
もののついでだから、ありつけなかった原因もこの際明かそう。食堂の床にべたっと座り込んで待つ間に、例によって予て準備の文庫本を読み始め、ついつい読みふけってしまった。
例によって、本の世界に取込まれている頃に、食堂の職員が立て看板を置いたのだが、それに気が付かなかった。奴はカンバンを二つ置いて行ったらしい。
気が付いた時には、Bコースの先頭が筆者であり、Aコース定食の立て看板の後ろにもう十二分のアタマ数が並んでいた。
要するに、詰めが甘く、注意力が散漫であった。
ハツユメならぬハラユメであった。
Bコース一食分はもう腹に入っていたから、あきらめて列を離れたが、腹がヨコになることはない内容であった。
音価一字の違いといえ、寝起き良からぬ朝のスタートであった。
これは、21世紀の食糧飢饉を暗示するユメであったのだと想うことにした。