深解広説俗流事典No.1の2

No.1の2 しかくしめん の続編
四角四面は、ワークするうえで合理性を欠いていると宣言したまま前稿を終えた。
この続編では、そう宣告する背景をまず述べる。
四角四面のカタチを詳細に考えるには、形の内側と外側とを区分する。
宅地や農地=個人の所有地は「内側」で、「外側」は道路となる。
農地を宅地化する所謂開発行為を官公庁に申請するとほぼ必らず道路設置または道路改良の指導を受ける。
有効宅地部分の隅切りを求められる。全周道路の地型だと四隅の外側は道路の交差点だから交通をスムーズにするための配慮だ。その結果、所有地の方は四角四面のイメージに反して、実は八角形になるのである。
以上が第一の話である。
同じく隅切りまがいのことは,クルマやパソコンでも行われる。
もし、これ等造形物を言葉どおり四角四面に作ったら、どうなるか?
すぐに隅からヒビが入り、間もなく欠け落ちる。つまり壊れるのである。それは、難しい言葉で「内部応力の集中」とか言うらしい。
メーカーは長い間の経験で、デザイン段階で隅切りをどの程度にするか、商品試作段階で十分にテストして、製品の内部応力が特定の場所に集中を避けて壊れないように設計する。
よって文字どおりの四角四面は、造形物には存在しないのである。
それから3つ目、これが最後だが、
農地で最も普通の形は、もちろん四角形である。ビニールハウスなど建造物を伴う場合は必らずそうなる。
だが、四角のカタチ、このありふれた形の内側はとても働きにくい。全体効率がとても悪いのだ。
その理由を2つ3つ述べよう、隅に近づく頃それまで続けてきた作業パターンを変える必要がある、面倒だ。
例えば鍬を使いながら進むとか、トラクターだと前進しながら稲束を刈込むとか、つまり同時並行的に2つ以上の作業を行いながら、コーナーで90度の方向転進をする、これが患わしい。
まだある、コーナー以外に四辺がある、一辺から進行して他辺に行き着いたら、そこで折返す必要がある。
これがまた面倒で手間取る、効率上もムダだ。
では、どうするか?代案は?
それは既に前稿で答えた、ハニカムである。
ここでは、背景も含めて詳細な検討経過を述べる。
コーナーターン無し、辺での方向転換180度折返しなしの農場を考える、その理想のカタチは実は円形だ。
円形だと任意の外周からスタートして、スパイラル状に作業し始めて、円の中心であるエンドまで一度も作業手順の変更なし、ターン無しのワンパターンで行ける。だから当然に無駄のない動きばかり、効率も最大だ。
円形農場は実在する。
スプリンクラーなどで給水することが欠かせない反乾燥地帯のプランテーションなどでよく見る光景だ、よって身近な風景ではない。
身近でない理由は簡単だ、円なるカタチが内側ワークのみに合理的な形状であって、内外通じた総合形状として合理性を欠くからだ。
勢い外側ワークとは何だ?となるが、答は農地へのアクセス用道路スペースとなる。
道路は必要不可欠のスペースだが、作物を植付けできないデッドスペースだ。総体の効率計算に含め、最小の面積に抑える必要がある。
円形の農地が3つ4つと累増した場合、円の外側の道路敷は複雑な形状となり、占める面積上のムダもこの上ない。
そこで結論へ、道路も直線上で、ムダなく全体配置できる正六角形がベストとあいなる。
内側での農作業もほぼ円形に近い連続したスムーズさで行える。総合メリットで四角と円を寄せ付けない。
更にこの結論は、建物全般にも及ぼすことができる。
現実に正六角形の住居に住んだことがないから、歯切れよくとはいかないが、ミツバチの住居として自然界に先例がある。
人間よりハチの方が賢い。
ついでだから、円にも触れておこう。
円形ハウスの提案例として高名なフラーハウスがある。
どちらのカタチの家も、四角形住宅特有の四隅のデッドスペースを解消(もしくは控えめに緩和)できるので、有効面積増加のメリットは確実であろう。
住宅の外形が正六角形になれば、その内側の各部屋の形も「その形」に従うのが道理だ。
六角形のタタミやベッドや風呂桶などを想像してみよう、何とわくわくするではないか
今日はこれまでとします。