耄想陸行録ーNo.7

* バスあかん  そんときゃ、あるやろ  ぽっぽ、やで
〔自註〕高速バスの問題は、挙げ始めたら、紙数が足りなくなる。無数にあるものを3つに絞り込み、併せてワット流解決策を示す。
1つ、排泄は生物にとって、最高に切実な課題だ。災難事例をひとつ。高速バス連続8時間走行、停車は昼1回のみ15分、車内トイレが当然あるはず。車両は最も新しかった。
その点では、日本語とハングルがダブルラベルのカムチャッカ(4年前に訪問した極東ロシア)とは大違いの新車だ。
始発から2時間、高速道に入り安定走行になったのを待ち、満を持して階段下に向う。ドアがあった、開けた。現実は、雑具置き場と化し、トイレ機能は消えていた。
因みに、トイレ設備のあるバスは1台も見なかった。大陸には寝台バスがある、2日以上かかる、より長距離を結ぶはずのそれをじっくり観察したが、それにもあるべきはずのトイレが無かった。
その昔、高校生の頃かな?憧れのサユリチャン世代は、スターたるもの「大」「小」なんぞするかと、現人神<あらひとがみ>信仰に犯されていたものだが、、、
ワット流解決策は、携帯型シビン「大」専用を自己開発し、備えとして常時持歩くべし。
蛇足、「小」用に関しては、先稿で触れたとおり、介護用品における日本の先行性は揺るがず、さらなる改良を求めない。
2つ、騒音問題、
ことの性質上、発生源が車外と車内とに分かれるが、車外の「パーパー」は。先稿で取上げたのでカット。
車内騒音は、乗客同士の会話、ケータイ電話の使用、持込みラジオ(スピーカー・タイプのもの)のソフト再生、それに併せて合唱する輩の高吟放声などなど。
これは国状、国民体質であろう。
ワット流解決策と言う程の事ではないが、耳栓をする。当座は手持のティッシュペーパーで事足りる。
本格的対策だが、この度は事前準備を怠り完敗した。
スマートフォンの「チューン」モードに、手持CDを録音して持参まではよしとするが、イヤフォンがメーカー提供の付属品だった。ノイズキャンセラー機能付きのものにすべきであった。
蛇足は、もちろん車外騒音と車内の罵声放吟の考察である。慢性的不潔愛好の国民性同様、自己主張の強烈さは大陸人的膨張体質に由来するのであろうか?全く首をかしげる行動パターンだ。
○○に付けるクスリを発明した者に、ノーベル平和賞世界市民栄誉賞とを併給することにしよう。その呼びかけは、国連がやるべしか?
なお、この手の課題は、鉄道や航空産業では生じないかな?
蛇足のおまけ。高速バスの中では、何故か映像ソフトの再生を行っている。この「ま逆」サービスは迷惑の典型である。
旧大陸の西も東も、新大陸も、大国指向の地<大国の例ではプリッツェル・プッシュがダイ統領に再選されたが、その基盤にある国策としての無教養礼賛・愚民奨励は、多数が支持する施策と言える>は、概ね似通っている。
映像ソフトのあらすじは、型通りの2種類しか無い。
組織暴力集団の活躍とこの国特有の時代衣装でやる格闘ゲームまがいのナンセンスばたばたの2つ。
表向きのみ勧善懲悪スタイルだが、暴力賛美の下心が見え見え、低俗の極みだ。
駕篭の雲サマ達にもいつの日か、アナクロニズムや低俗趣味から脱却する日がないとは言えないが、浜の真砂を拾い集める無駄を憶い出してしまった。
3つ、過冷房
体型と皮膚感度による個人属性に従うとは言え、生死や心因性病症に直結する重大かつ切実な問題である。
ゲイリーの脆い精神はほとんどこれでもって、ずたずたにされたのだが、もう再論しない。
対策は、長い靴下と重ね着の励行である。それに個人属性を読む事だ。毎日ニンニクを大食らいし、焼酎を浴びている偏食ヒヒ親爺に近寄らない注意も肝腎だ。
以上で、いささか長たらしい高速バス問題は、終わりとしたい。
読者の中には釈然としない想いの人がいるかもしれない。
自分の体験と正反対だ。筆者の創作か、誇張だろう、、、
もちろん創作ではありません、また、外遊帰り放談会におけるデワノカミ作戦でもブゼンノスケ指向でもありません。乏しい体験ながら、実見に基づく一つの感想です。
ここで読者に対してお願いがあります。
この列島の厳しく管理された高速道路を前提に、彼の国のバス輸送サービスを想像しないようにして欲しいことが第1。
第2は、列島の海外旅行で評価すべきは、日本の観光代理店の力量です。
代理店は、自社企画の海外パック旅行を、驚く程上手にコントロールしています。
第3、その結果として、パック旅行の方々が訪問先で現地の人達とバスに乗合せた記憶が無いだけです。
パック旅行の醍醐味は、代理店コントロールの影響下での「いいトコ取」つまり、後味の良さにあるのです。
多重人格ワット&ゲイリーの大陸3週間の旅=8カ所に宿泊し、延べ11回移動。そのうち9回がバス、大都市間移動は、ほぼ高速バスに頼ったが、バスの中で日本人とは一度も出逢わなかった。
もち、先々の観光地や土産店では見てますから、こっちの旅が、費用圧縮に徹し現地者向けの移動方法を徹底採用(旅行代理店とは無縁のケチケチ旅)したせいだ。
そうだ、自業自得なのだが、それもまた旅なのだ。
客運=バス輸送は、高速道路の開通・延長に伴い、飛躍著しい新興事業だが、ゲイリーのような高度消費レベルに馴染んでしまった低成長経済社会住人が利用するには、サービス面での無理があった。
さて、それが判ったら、何故鉄道利用に切替えないのか?
そのとおりだが、現実はそう判ってても、切替できないのであった。
運賃の問題ではない。
現地・即物を旨とするワットは、鉄道と客運の双方のターミナルに足を運んで比較してみた。
僅かな差でしかなかった。
当然だが、所要時間も考慮した。鉄道の方が、ほとんど早く着く。これは当たり前かも?
でも現実に、鉄道への切替は出来なかった。
答は実に簡単だ。現実問題として、鉄道の乗車券が買えないのだ。
切符売場は、凄い行列。列島にある勝馬投票券売捌き場そっくりの混雑だ。こ1時間待って、窓口に辿り着く、「無いよ」と言われて、おしまい。
希望する日の切符は、鉄道利用者の手にはほとんど届かないらしい、まして外国人旅行者であるワットには、無縁の、否・身分違いの高望みかもしれない。
鉄道への切替は、事実難しいのである。
まずはワット体験だが、まず時刻表は置いてない、購入チケットの申込書(列島では、第1〜3希望くらいまで記入できる体裁だ)が見つからない。次にワットの想像だが、字を書く人が少ない(性向・好みの問題としてだ。因みにこの国の識字率は高いとの公式報告がある)、真剣かつ切実に鉄道チケットを必要とするケースで誰も窓口に並ばない(想像と前段に書いてます。一党独裁・中央集権、広大な国土の下、行政官の急ぎの出張は果たして如何なさるのでしょうか?)。
ワットの視察体験報告に戻る、大都市間移動(=概ね中距離以遠)の場合、手に入る切符は早くて4日、時に13日(これは電光掲示板情報だが、掲示上のの容量限界かも?)は、待たされる。
再びワットの推定だが、大陸大衆は、まず駅に来て切符を買い、その切符に合わせて旅行日程を組む。乗車日が数日後と運良く短い場合は、駅周辺の路上で寝泊まりして乗車日を待つ、その間雨が降らないことをひたすら願う。
以上が一部推定をまじえた大陸特有の交通実情である。大陸大衆ですらこうなのだから、何らの社会背景を持たない一介の徘徊者風情の外国人であるワットに希望する日の切符が入手出来ようはずも無い。
なお、最後の断りだが、ワットの体験は本年7月の平日乗車のケースだ、決して盆正月など特殊繁忙期類似のケースではない。ただ、学童の夏休み期(列島の進学期、卒業・入学シーズン期。春休みのこと)だから、一応のオンシーズンではあるが、、、、
さて、そろそろ筆を置く、以下の記述は全くもって想像なので、真に受けないようにしてもらいたい。
如何に人口過剰・稠密な大陸固有の事情とは言え、慢性的サービス不足があるのはどうしたものだろうか?
高速道路も新幹線鉄道も建設・延長中だが、事業者として、交通需要の予測を誤ったのか、需要に応えた供給体制の構築を怠っているのではないか、、、
いやそうでは無いと。そんな見解は、民主的社会の住民感覚による外国人旅行者的発想でしかない、高度消費にどっぷり浸かっている社会の人の感覚麻痺から来た贅沢感想でしかないではないか、、、、、
果たして、どちらであろうか?
どっちもブーかも?、、、、
そこで、ワットはあるシーンを思い出した。
北京から太原まで、新幹線に乗った時の風景だ。満員状態の待合室で、これから新幹線に乗ろうとする一人旅らしい中年のご婦人は、その出立ちが周囲と全くかけ離れていた。まるで、朝顔市かほおずき市の帰りのような一鉢を手に提げただけであった。離れて付き人がいたかどうかまでは判らない、ただ違和感をもって一瞥した光景だ。中距離以遠サービスの新幹線に、植木鉢1個提げて乗ってはいけないことはない。ただ、ワットの切符は、旅の同行者、先達の朱鷺先仗師が数日前大連から飛んで来て購入し、数日台湾に逗留して再度北京に飛来してから、この新幹線に乗車できたと言う深謀遠慮かつ驚く程の手間とひまと航空運賃とがもたらした成果なのであることを思うと、彼女の出立ちとの隔差に大陸事情なんだと片付けられないものを感じた。
彼女は苦もなく、その日その時、思いつきで足を運べば、想いどおりの切符がやすやすと手に入る方法を知っている格別の立場か、それに連なる関係の人なのであろう?たしかに、ほおづき市の往き還り地下鉄や山手線に乗る恰好で、新幹線に乗ってもよいのだ。ただ列島で翌日以降の普通乗車券が買えるのはJRだけだ。首都圏私鉄では、ニーズがないためか置いていないのもまた事実だ。
彼女は、ヒョウ柄の出立ちの肩で風切るオバタリアン軍団風には見えなかったが、どこの国でも、最小の努力で最大の成果を為留めるのはあの人達だ。格別の耳コミ、口利き、獣道を嗅ぎ分ける天性のものがありそうだ。因みに、ヒョウは百獣の王ライオンほどの押出しと名声は無いが、世界中くまなく居住し、絶滅の懸念すらない、生物多様性保全種の中の最優等生らしいから、あのヒョウ柄もまた、しっかり意味を抑えて愛好に及んでいるものなのであろう。
そのような天性の能力を備えない、しがない一介の徘徊者風情の外国人貧乏旅行者ワットでも、今日窓口に並んで明日の切符が手に入るような旅行をしたいものだ。そうすれば、介護おむつの備えやゲイリー君との意図せぬ出逢いとも訣別できるのだが、、、、

今日はこれまでとします