メゲーヌこく訪滞記より−10

第10話
オラは、この時期、人と会わない。努力してでもなく、おのずから、このメゲーヌ国の、生き方に、なじんで来たからだろう。
だが、今年は、オバマが、活躍している。不況でピンチなので、ハネムーンが無いのだそうだ。
とまあ、色々と、オラの、ネホン語力では、判らにゃあことズラを、TVが、わんさかと、言うとらあすけ、疑問コトバ袋が、破裂しそうだ。
そんだもんで、ふらあっと、ぼうっと、イヤミシェンシェ=バリアゾーンに、踏込んだ、つう訳だっちゃ。
イヤミ曰く 「おうおう、こんだ晴れの日に、珍客だなし。オラ、何を、しとうたがにゃ? 」
「確定申告だもんで、この時期は、寒くもサムかで、家さ籠ってマスタば」
イヤミ曰く 「やあやあ、オラも、確定申告するだか、ひゃあ。高額所得者だったきゃ」
「ちゃうちゃう、どこさ行っても、申告、申告、でなは。皆んな、深刻ぶってらすけ、オラボウットは、どこさも、顔出しでけん。お邪魔虫は逆さの箒ずら。
疑問コトバ袋が、一杯に、貯まるなあ。そいだもんで、シェンシェんとこさ、来ただよ」
そこで、イヤミ曰く。「おイらは、TV無し、新聞取れず、申告無しの、なんも無し。おイらんとこに、来ても、貯まってしまった疑問コトバ袋は、ちいとも、小そうならんぞい。
おおお。ほいだもんで、ところで、オラは、なにすて、ご飯たべとらあすか?」
オラは、答に詰まるなあ 「オラは、ネホン衆と、同じだちゃ。ハシと茶碗だす」
イヤミ突っ込む 「ありゃ、指で摘むんで、なかと?」
「あちゃ、オラは、ムスリムでも、アーメンでも、にゃあよ。
文化レベル、げにまっこと高い、生粋のアジアだっちゃ」
イヤミ頭かいて 「うんにゃ、悪い、悪りいこんだ。勘弁してなんじょ。
おイらはな、いつも、ばあさんと。メシの元を、オラは、どうやって、稼いどらすか? とまあ、言うとるだわ」
「あちゃ、オラは、シェンシェも、ご承知の、コスモポリタン<補注=ナポリタンより広い地中海レベル人。今風だと無国籍?世界人かな?> じゃけえ。
ネホン衆と違って、資産は持たねえが、必要なモノだけを持ち、日々ご飯だけは食べてラスよ」
イヤミ、尊敬のまなざし。「オラは、資産は持たねえかあ、立派じゃ。
そい点だば、おイらは、持たねえでなく。持てねえだば。
オラ、そのネホン語の、ややっこしく、デリカートさが、判るかな?」
「おイらは、今時、珍しいぞ。家無し、クルマ無し、TV無し、新聞取れず、カネも無し、
こりゃ無産の五つ星、グランドスラマーだわ」
「んだども、この国じゃ、コイズ首相の構造改革でか?年金生活者にも、ずっぱり、課税するつう訳よ。
世界一住み良いクニだと、皆な喜んですまって、とりわけ、若い人は、選挙でも、投票に行かんわにゃ。
だすけ、万年与党、役人天国よ」
オラ言ったな、「シェンシェ、国民は、クニの主じゃけ、選挙権行使だけが、政治参加じゃ、無きゃよ。
自分が支持したしないにかかわらず、議員の報酬からにゃ、役所員の給与も含めて、全てが、税金から支出されているわな。
だすけ、その使い方を、つまり、例えば、議会をよくさぼるとか、増税法案に対して、どんな質問をしたか、賛成票を投じたか、とかとか。
役人の仕事振りも、細かく関心を持って、見守らんば、イカンぜよ げにまっこと 」
イヤミシェンシェ大いに関心する。 「やっぱ、コズモポリタン食うナポリターノは、インタナショナルだちゃ」
オラ鼻息あらく 「シェンシェ、インタナショナルでのうて、トランスナショナルずらよ。
ついでに言うたるちゃ、世界に戦争が起きるんは、税金の使い方が出鱈目だからと言うぜよ。
税金のチェックが厳しいと、戦争はでけんと。これ、セカイのジョウシキ、だっちゃ」
イヤミ曰く 「やあ、世界の常識。どっかで、聞いたような、実に決まらん、決まり文句じゃのう。
たしかに、ネホン州の、昔の15年戦争も、コトバの使い方と、税金の監視とが、杜撰じゃったからにゃ、
事件とか、事変とか、言葉はどうでん。実態は戦争じゃ。遂には、パールハーバーまで拡げちまった、ちゅうこった。
大陸で、長い期間、事件・事変と軍事駐留しとっと、想定外の事態が、多々勃発するわにゃ、
生まれとらんすけ仮に想うが、外地は言葉も風俗習慣も違うちゅうことは、それだけまた、同胞の監視が無いことなんだわ。
こいはつまり、行動の自由度も相応に増し、羽を持ったようになっちまったちゅうこと。
統制の取れた武力集団じゃき、現地民のニーズに即した物資を、容易に抑えれる立場にあったちゃ、
モノを抑えてしまうと、黙って座っとっても、物資の引取・売捌きを、願い出る輩が現れっとよ。
そうなると、本国から届く軍事予算は、使わんでもええ。
それをポッケにして、それに数倍する、自由になる軍費が、蓄積されたんだわ。
思わず、話が長くなったが、
あちゃ、オラは、ボーダービジネスを体現して来て、今日ある実業家だからにゃ。
おイらの話ば、やんや、釈迦に説法やった。だははは・・・・」
「やあ、イヤミシェンシェは、何でも、お見通しやな。
オラは、そん昔、大陸の端っこで、色々やりましただ。
そこは、ついこの間 返還されるまで、英領でありあんしたにゃ。
ほいで、英語もマンダリン(=北京ー中国語)も、オラはトレードに限ってだば、カンどころを身に付けてまった。
まあ、ネホンと違って、学歴・資格を問わねえ社会じゃあけ、、、、誰でん5歳にもならあすと、一人で生きて行けるようになるもんでにゃ。
まあ、そいで、時々、お呼出しがあったらば、オラはさあっと、メゲーヌ国ば出はって、港に駆けつけ、
そいで、オラが解決する訳だば、
まあ、大西洋は、知らんけんど、インド洋と太平洋の間の渡海交易の世界だば、実務は中国人が支配してるかんな、
通関士の資格は無うても、要するに、相手を説き伏せて、モノとカネとが、確実に受け渡せれば、
オラを使え、こじれたらオラを出せと、なるんかな? 」
イヤミさえぎって、曰く 「そいだもんで、無資格やから、無報酬ちゅう訳じゃな 」
「イヤミシェンシェ、うんやまあ、今日は冴えてるニャ。ボランティアちゅうこってすよ。無報酬の」
「なるほど、そいでは、確定申告は、無いわな。オラは、、、
したども、教えとくが、ネホン衆のボランティアと、本国語のボランティアとは、少なからず、かなりに、意味がぶれるから、注意せえよ。
こんクニじゃ、何でも。カネカネで割切り、その都度、決着をつけることをケジメと信じ込んでおるもんが多い。
コン人に向っては、ボランティアと言うたらアカン。手間貸しとか、やってみたいんじゃ、とかちゅう言葉で、申し入れを、やんわりとな。
ネホンでは、細かく、人と人の間の、上下を測りたがる輩が多い。
ヒトはまずもって、対等な存在だ、ちゅうことが、理解できんモンが、かなり居るんじゃ」
「オラは、そったら、こむずかし話ば、判りましぇん。
たんだ、税金の無い、役人が威張らない、そう言うクニを捜して、世界中を廻ろうと、只今放浪中ですじゃ。
USAは、戸籍が無いから、かなりイケルと、、、、じゃが、アカンかった。ヒトは、やっぱし、安全第一だっちゃ。逃げましたわ 」
「ははあん、ほいで、メゲーヌこくに、長いこと居るちゅう訳か。
ところで、USAは戸籍が無いのに、どうして選挙管理できるんかな? 
シュワルツネッガーは、あんクニで生まれて居らんさけ、プレジデントにゃなれんちゅう。そいでカル・クニのガバナーまで。
オバマは、あんクニで生まれたすけ、プレジデントでも何にでも、なれっとよ。
戸籍無いがに、どうするんかのう? 秘密警察が働くんかのう 」
「オラは、漂泊の外国人やさけ、資産無し、よって、資産課税無し。
所得課税、こいは収入があっても無くても、移動する者は捕捉不能だっしゃろ。
オラは、遊牧民の倅やさかい、どこさに行っても、収入課税は、無関係ちゅうわけ」
「そやそや、そう言うこっちゃ。こん国は、資産があって一人前だちゃ。
土地と家は、コケン(=沽券)にかかわるちゅうくらいににゃ、
明治からこっちは。国民たる者、不動産所有は国是だわな。
そん昔は、土地ば持ってにゃあと、選挙権も付与されんかった。
オラの国じゃとう、人口少なく、遊牧社会さけ、土地が有り余っておって、誰も資産と認めんやろ。
資産は、草を求めて、いつも移動する、ウシやヒツジやウマだからにゃ。
彼らの移動を追いかけて、7日か10日毎に、住まいを動かす。
そん時に、固定式の家、言葉どおりに不動産やったら、問題外ちゅう訳じゃ。
基本的な生産・生活のスタイルは、クニや地域の、固有の気候や風土に、あわせること。こりゃ、当然やがにゃ」
「イヤミシェンシェ、実を言うと、オラの国は、ネホン衆の苗字に当る名が無いんだちゃ。
オラはオラトールで、ファーストネームしか無いんだわ。
それは、オラが国の習わしやから、理由は無いんだが、、、モンゴルやアイスランドも同じだったわ。
世界を転々とした、体験からすると、農業社会は、すなわち定住社会でごはんな。
農耕地を子孫に相伝させる必要が、農民と課税者の双方にあって、家名を発明したんじゃなかと、
同時に戸籍も発明されたがちゃ、オラそう考えておる。
だから、いつも言うとらすけ、定住生活は理想だと。税の捕捉も理想的で、国民も純朴で、、、、」
「いやいやあ、オラは学者やな。確かに純朴の意味が、
人権意識が低いに近いの意味ならばだ、
東経・西経を問わず、度数価が高くなるに、反比例して、人権意識は低下するらしいぞ。
まつまり、軽度に比例して、被統治度、対権力盲従度が高まるちゅう、これまた世界の常識らしい、
ユーラシア大陸の、東の端の附属島なんざあ、見かけの大学進学率は高いが、やっぱり極東だわな。
グリニッチは、起点だが、あの人権レベルが酷く低いロシアよりも、倍以上遠いちゅうこんだから、仕方にゃあかも、、、
お、日頃、地球儀で考えろ、地図を見たらアカンと言うとったニャ、、、ひやひや」
今日は此処まで、
オミしゃんにプー