サイト君 第53話

今日のテーマは資本化しない貨幣である。資本とは「もとで」のことだから、人類の創世とともに始まり、事業の必然要素である。
事業の3要素=「もとで」は、アイデア&パートナー、おカネ、物と場所。カネで買えない要素が多い。
人材を人財と書く金儲け論者が少なくないと聞くが、それは明らかに誤報だ。
もとでから資本に言葉が変わり、煩雑に話題にのぼるようになったのは会社スタイルの事業体が出現して以後のことで、今から400年程前である。
それ以前の経済界は、注文生産が中心で事業は親方と職人で十分に賄われ、見込生産が無いこともあって、広く他人から資本を掻き集める必要が無かった。
多額の資本を広く多数から集める理由は大きく2つ。
まずは投資額が大きく個人の余剰資金を超えるケース。メゲーヌでも奈良時代東大寺の建設は官民挙げて参加したが、下って鎌倉五山などの私寺は寺院建造に先だって貿易船を仕立てるべく大船建造資金を集めた。
次の理由は大きいリスクを多数で分散するケースだ。貿易航海などは失敗のリスクが高い投資なので保険的機能を持たせた。
大航海時代の初期つまり会社前夜の頃は、一航海ごとに利益処分・欠損処理を確定させ事業が終結した。
17世紀の初め、オランダとイギリスに会社が設立され一航海ごとの清算を辞め、継続して資本を維持する仕組が創設された。次の産業革命時代には工場建設など多額の投資をするため株式会社がざらになった。
印刷記号による信用と資本による市場競争を当然とする現代経済の仕組は、ここまで述べたように行きがかりで出来上がったに過ぎない。そこには法治主義の理想も科学的合理性も欠けている。
明日に続きます